免疫チェックポイント阻害薬使用中の患者におけるインフルエンザワクチンの接種の可否

ESCMIDのconsensus document(Clin Microbiol Infect. 2018;24 Suppl 2:S95-S107)では、ワクチン接種は通常通りでよいと記載があります(table2)。これは今年の6月のpublishされています。

一方、今年の5月にpublishされたN=23の観察研究(J Immunother Cancer. 2018;6(1):40)では、irAE増加の可能性が指摘されています。同じ文献で、健常者と同等の抗体価であることも報告されました。しかし、より大きな観察研究(Eur J Cancer. 2018;104:182-187)が10月に発表され、irAEは増加しないと報告されました。

報告によって、irAE(免疫関連副作用)が増加する可能性を示したものと、そうでないものがありますが、N数が大きいものが増加しない、としていることと、インフルエンザに罹患した場合の重症化リスクを考慮すると、ESCMIDの推奨通り、インフルエンザワクチンは接種したほうがよい、と考えています。

結論:接種推奨

ESCMID Study Group for Infections in Compromised Hosts (ESGICH) Consensus Document on the safety of targeted and biological therapies: an infectious diseases perspective (Immune checkpoint inhibitors, cell adhesion inhibitors, sphingosine-1-phosphate receptor modulators and proteasome inhibitors).

このサイトの監修者

亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長  細川 直登

【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育