第15回:歯周病があるとデンタルインプラントはできないのか

投稿日: 2024年9月19日

歯周病罹患率は25-34歳で30% 、35-44歳で40%、 45-54歳は50%、そして55歳以上は55-60%であり、日本人の歯を失う原因の第1位となっています。(日本歯周病学会)
歯周病とは歯周病原菌によって引き起こされ、歯肉に炎症が起こりさらに進行すると歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。

デンタルインプラントは歯のないところに人工の歯を入れるために骨の中に土台となるネジを入れる処置です。歯周病によって顎の骨が著しく吸収されていると、インプラントを支えるだけの骨量が不足していることがあります。
そのため、歯周病が原因で歯を抜いた場合はデンタルインプラントを支える骨がないことが多く、骨を作る手術が必要になる場合があります。(第8回参照

また歯周病の方は、デンタルインプラント治療後にも注意が必要です。デンタルインプラントもご自身の歯と同じように、歯周病原菌によって歯肉に炎症がおきデンタルインプラント周囲の骨が溶けてしまうことがあります。これがインプラント周囲炎です。2019年の報告で歯周病がある方はインプラント歯周炎になるリスクが2.2倍という報告があります。インプラント周囲炎が進行すると、デンタルインプラント周囲の骨が溶けてなくなりデンタルインプラントが脱落する可能性があります。

インプラント周囲炎を防ぐためには予防が重要になります。そのために、デンタルインプラント以外の歯の歯周病の治療を行うこと、デンタルインプラント治療終了後も定期的なメインテナンスを行うことが重要となります。

歯周病は現代の日本人の多くが抱えている疾患です。当院ではインプラント手術前に歯周病の治療を優先して行い、また骨がない場合のデンタルインプラントにも骨をつくる手術で対応しています。

文責:歯科口腔外科 山口明日香、松田博之
◎インプラント治療をご希望の方は
松田博之医師をご指定ください。

このサイトの監修者

亀田総合病院
歯科口腔外科医長 松田 博之

【専門分野】
口腔外科、インプラント