未破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術(方法、治療成績と合併症)

    全身麻酔をかけて開頭し、脳動脈瘤に到達してその首根っこの部分を、チタン製やステンレス製の金属クリップで挟み込みます。
    髪の毛の処理は、以前は丸坊主で行っていましたが、現在では一部の毛髪を除去するだけで手術します(ライン除毛または部分除毛といいます)。
    退院時に創が目立つことはありません。
    術前検査も含め2週間の入院で治療が終了します。

    クリッピング術

    ※クリップによる脳動脈瘤クリッピング術


    開頭や閉頭に際して、脳損傷や感染症、てんかんなどの合併症が起こる可能性がありますが滅多に起こることではありません。
    最も問題となるのは、動脈瘤周辺から分枝する穿通枝という細い動脈の損傷による障害です。
    麻痺や記憶力の障害、言語障害など出現する可能性がありますが、一般的には3%以下の出現頻度であるといわれています。

    治療成績と合併症:未破裂脳動脈瘤 604例(1998年~2015年)
      手術死亡:なし
      合併症 8例 (内訳:嗅覚障害 3例、視野一部分障害 3例、麻痺1例、失見当識1例)
       (麻痺および失見当識は一時的症状)


このサイトの監修者

亀田総合病院
脳神経外科、脳血管内治療科 主任部長

【専門分野】
脳卒中の外科治療、脳血管内手術、脳機能解剖学、脳循環代謝学、脳動脈瘤に対する血管内手術、頚動脈ステント術、脳血管奇形、硬膜動静脈瘻、脳動静脈奇形、脊髄血管奇形、顎顔面血管腫