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Thrombectomy 6 to 24 hours after stroke with a mismatch between deficit and infarct
N Engl J Med 2018; 378:11-21 January 4, 2018 DOI: 10.1056/NEJMoa1706442 
2014年9月-2017年2月の期間で施行された多施設前向きランダム化非盲検試験である。梗塞体積のわりに障害が非常に重症である急性脳梗塞患者に対して、発症後 6 時間後に行う血栓除去術の有益性を調査した。
アメリカ・カナダ・ヨーロッパ・オーストラリアなど、年間40件以上の機械的血栓回収療法を施行している施設のうち26施設で行われた。

<Method>RCT/single blind/Bayesian-adaptive design/206症例

<Result>206 例を登録し、107 例を血栓除去術群、99 例を対照群に割り付けた。事前に規定した中間解析の結果を受けて、31ヵ月の時点で試験への登録を中止した。90日の時点で、効用値で重み付けした修正 Rankin スケールのスコアの平均は、血栓除去術群では 5.5 であったのに対し、対照群では 3.4 であり(補正後の差 [ベイズ解析] 2.0 ポイント、95%CI1.1〜3.0,優越性の事後確率>0.999)、機能的に自立している割合は、血栓除去術群では 49%であったのに対し、対照群では 13%であった(補正後の差 33 %ポイント、95%CI24〜44、優越性の事後確率>0.999)。症候性頭蓋内出血の発生率に群間で有意差は認められず(血栓除去術群6%vs対照群3%、P=0.50)、90日死亡率にも有意差は認められなかった(血栓除去術群19%vs対照群18%、P=1.00)。

<Conclusion>血栓除去術と標準治療を併用した方が、90 日の時点での障害の転帰が良好であった。

<Discussion>
・発症後6時間でも血栓除去術が有効であることを示した初のRCT。
・中間解析の結果より、31カ月の時点で血栓除去群の優越性が確認されたためtrialは中止となった。
・このtrialのstudy designはBayesian-adaptive designであるためSample sizeは150-500人と幅を持った範囲となっている。
・Bayesian-adaptive designは事前情報と治療結果を連続的なデータの流れとみなして推論の更新ができ、中間解析に基づいて試験計画の変更が可能である(例、望ましくない治療の中止、組入計画の変更など)。
・患者登録する際にスクリーニングで何症例除外されたか不明であり、2年半の期間で対象症例数が206例であることから、僅かな患者しか治療対象とならないことを暗示しており、clinical implicationはそこまで大きくないと考えられる。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科