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KDIGOステージ3以上でカテコラミンないし人工呼吸器使用中のICU患者に対し、透析開始のタイミング及び開始の有無を検証した、多施設の非盲検RCT。これまでの研究では透析未介入群との比較はなく、介入するのであれば早期が望ましいという結果であった。本研究では、早期介入群と非早期介入群にランダム化し、後者ではアシドーシスや呼吸不全や高カリウム血症など一定の基準を満たした際にのみ透析開始、満たさなけれは透析未施行で経過観察した。

主要なアウトカムであるDay60での致死率の他、在院日数やDay3, 7のSOFAスコアといった項目では差がなかった。一方で、カテーテル感染症に関しては非早期介入群で有意に罹患率が低かった。また、透析離脱可能な最低尿量を認めるようになるまでの期間は、非早期介入群で有意に短かった。

本研究では両群間の致死率の差は1.2%であり、サンプル数不足のためにこの差を検知できていない可能性もある。しかし、差を検知するためには7万人の対象者が必要で、試験デザイン上かなり困難である。加えて、透析方法が統一されてないといった問題点もあるが、Cr上昇のみでアシドーシスや呼吸不全や高K血症などを伴わないAKI患者ならば透析なしでも約半数(49%)の患者が経過観察できるという可能性を示唆している。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科