不動寺センター長のERひとりでできるもん:第7話 腸閉塞
KMC ERでの週に1回の不動寺センター長によるER Tipsレクチャーの模様です。
初期研修医やもっとERを学びたい後期研修医向けに一人でER当直を乗り切れることを目標としています。
このコラムを読んで、ER診療brush upの一助になれば 幸いです♪
※Tipsの一部を紹介
*腸閉塞=腸管に閉塞起点があるもの
*イレウス=閉塞起点がないもの、麻痺性、動かないだけなので現疾患の治療をする
*麻痺性イレウスの原因
腹膜炎:穿孔、胆嚢炎、虫垂炎、憩室炎、膵炎
外傷:脊椎損傷、臓器損傷、後腹膜出血
腸管壊死・腸管虚血:SMA塞栓症、NOMI
薬物:麻薬、降圧薬、精神病薬、抗うつ薬、抗コリン薬
*腸閉塞のポイント
- 閉塞起点が小腸か大腸かを考える
- 盲腸が拡張していたら大腸閉塞
*小腸閉塞のポイント
症状:嘔気・嘔吐・cramping abdminal pain、obstipation
腹痛92%、嘔吐82%
排ガスなし90%、排便なし81%
腹痛は臍周囲、間欠痛 4.5分間隔
限局性の持続痛→腸管壊死を疑う
突然の激痛→穿孔を疑う
*診断はXp、CT、USがあるが、USの感度・特異度は92%以上
*Xp所見のcheck point
- 小腸のガス・拡張(>3cm)
- 大腸に比較して小腸拡張があるか
- ニボーがあるか
- ニボーの底辺の長さ>2,5cm
- 同じループに高さの違う二ボーがあるか
- ケルクリングひだがあるか
- gasless abdomen、Pseudotumor sign(ソーセージ状の長径腫瘤像)
- 立位がダメなら左側臥位でレントゲン(左には胃、右には肝臓)
*CT所見のcheck point
- instestinal feces sign(便のように見えるところ)が閉塞起点に近いかも
小腸拡張>2.5cm
大腸拡張>8cm - 完全閉塞か部分閉塞か
完全:ガスが大腸に行かない→30%腸切除の可能性 - 絞扼性かどうか
- ワールサインがあるか:捻転を疑う
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このサイトの監修者
亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明
【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科