がんゲノム医療

がんゲノム医療とは

がんは、同じ臓器からでたものでも、患者さまによって性質が異なります(進行速度の違い、病状の違いなど)。その理由は、がん細胞内の遺伝子が異なるからです。遺伝子はもともと正常細胞の中にあり、がん化するときに変異します。この変異の程度・種類が、患者さまによって異なるのです。

近年まで、がん細胞内の遺伝子変異は詳しく調べることは日常診療では出来ませんでした。しかし、技術が進歩し、日常診療でも可能になりました。がんゲノム医療とは、患者様のがん細胞内の遺伝子を解析し、患者様毎に個別の治療方法を提案・実施することです。

亀田総合病院でも2018年9月から自費診療での施行を開始し、2019年6月からは健康保険での施行を開始しました。がんゲノム医療は魅力的な新しい診療法ですが、下記に記します良い点と問題点もありますので良くお読みになってご検討ください。

 

良い点

  1. 患者さまにあった治療薬が見つかる可能性があります。
  2. 標準的な治療(通常の治療)が終了し、治療薬がなくなった患者さまにも新たな治療薬が見つかる可能性があります。

問題点

  1. 遺伝子検査をして、治療薬が見つかっても、実際に治療を受けることができる患者さまは、現時点では検査をした患者さまの約1〜2割と少数です。
  2. 遺伝子検査をしても治療薬が見つからない患者さまも多いです。
  3. 見つかった治療薬のなかには保険診療で施行可能な場合があり、当院でも可能です。しかし、多くの治療薬は臨床試験や治験などの実験段階で、それらを施行している施設(国立がん研究センターなど)での治療となり、亀田総合病院ではできません。
  4. またゲノム医療に基づく治療が施行されても、効果がでるとは限りません。またがんを完全に直すことも困難です。
  5. 保険診療で行うには厚生労働省で決められた基準が存在します。それに合致しない場合には保険診療では施行ができず、どうしても希望する場合には自費診療となり高額です(病理組織を使用する場合47万円、血液を使用する場合75万円)。
  6. これらの問題点はがんゲノム医療が発展段階にあるためです。将来さらに発展し、より安価で、多くの患者さんに可能な診療となることが予想されますが、現段階では限られた患者さまにだけ有用です。

 

ご相談について 

がんゲノム医療のご相談は04-7092-2211(代表)にお電話下さい。
※受付時間:月〜金 9:00〜16:00
また、外来通院されている方は、診療科医師か、Kタワー1階がん相談支援センターにご相談下さい。

がんゲノム医療は、複雑ながん医療のなかに、新たに出現した、更に難解な診療方法です。理解して頂くのに時間がかかると思いますし、説明にも相当時間がかかります。ご希望の患者さまは下記の手順に沿って受診していただくことになります。
1)がんの診療を当院で受けている患者さま:まずは担当している医師にご相談ください。必要に応じて我々がんゲノムチームの医師が対応いたします。
2)他院でがんの診療を受けている患者さま:まずかかりつけ医からの診療情報提供書が必要です。当院にて患者さまの状態の評価を行い、ゲノム検査に適しているかどうかなど判断します。そのため受診の際にはセカンドオピニオン受診が必要で、自費となります(1時間4万4千円)。

がんゲノム医療は当面は我々専門スタッフ(腫瘍内科医師 大山優、池田貞勝、がん化学療法専門看護師 北浦寿子、腫瘍内科看護師 高梨晶世)が対応いたします。受診を希望するかどうかまだわからない患者さまで、事前の相談をまず希望される場合も相談料(自費:25分5千円)がかかりますが可能です。予約センターから予約をお願いいたします。


このサイトの監修者

亀田総合病院
腫瘍内科部長 大山 優

【専門分野】がんの包括的医療、病状に応じた最善の治療の選択と実践