2021.05.21 抄読会

担当:初期研修医 長嶋先生/指導医 川上先生

論文:TimingofsurgeryfollowingSARS-CoV-2infection:aninternationalprospectivecohortstudy

内容:SARS-CoV-2の周術期感染は、術後の死亡率を高める。本研究の目的は、SARS-CoV-2感染症に罹患した患者の手術前の計画的な遅延の最適期間を決定することである。この国際多施設共同前向きコホート研究では、2020年10月に選択的または緊急手術を受ける患者を対象としました。術前にSARS-CoV-2に感染していた外科患者と、SARS-CoV-2に感染したことがない患者を比較しました。主要評価項目は,術後30日の死亡率とした.ロジスティック回帰モデルを用いて、SARS-CoV-2感染の診断から手術までの時間で層別した調整後30日死亡率を算出した。116ヵ国の14万231人の患者のうち、術前にSARS-CoV-2の診断を受けた患者は3127人(2.2%)だった。SARS-CoV-2に感染していない患者の調整後30日死亡率は1.5%(95%CI 1.4-1.5)。術前にSARS-CoV-2と診断された患者では、診断後0〜2週間以内、3〜4週間以内、5〜6週間以内に手術を受けた患者で死亡率が上昇した(オッズ比(95%CI)はそれぞれ4.1(3.3〜4.8)、3.9(2.6〜5.1)、3.6(2.0〜5.2))。SARS-CoV-2と診断されてから7週間以上経過した後に行われた手術は、ベースラインと同等の死亡リスクと関連していた(オッズ比(95%CI)1.5(0.9-2.1))。SARS-CoV-2感染後の手術実施が7週間以上遅れると、症状が継続している患者は、症状が治まった患者や無症状の患者よりも死亡率が高くなった(それぞれ、6.0%(95%CI 3.2-8.7)対2.4%(95%CI 1.4-3.4)対1.3%(95%CI 0.6-2.0))。可能であれば、SARS-CoV-2感染後、手術を少なくとも7週間延期すべきである。診断から7週間以上経過しても症状が継続している患者には、さらに手術を遅らせることが有効な場合もある。

コロナウイルス感染症罹患後の周術期リスク評価についての論文でした。論文の中で述べれられていた診断方法と日本の医療現場の認識とには解離があることや、各国の経済状況、医療水準などに大きな違いがあることが議論になりました。

長嶋先生、川上先生お疲れ様でした!

亀田総合病院 麻酔科 後期研修医 荻野

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療