2021.02.19 抄読会

担当:後期研修医 藤井先生/指導医 植田先生

Intraoperative Oxygen Concentration and Neurocognition after Cardiac Surgery A Randomized Clinical Trial
Anesthesiology. 2021 Feb 1;134(2):189-201.

CABG手術中のFIO2≧0.35に維持した群とFIO2=1.0に維持した群では術後2日目の認知機能に差はなかった

近年、肺保護戦略の一つでFiO2を上げすぎない周術期管理を勧める論文をよく見かけます。今回の論文は呼吸器系合併症ではなく、認知機能に焦点を当てたものでした。予想に反して術後認知機能に差は出ませんでしたが、筆者らはその原因を、人工心肺による全身性の炎症反応に比べると、動脈血酸素含有量は虚血再灌流障害においてはマイナーな事象だったからではないかと説いていました。当科からは、人工心肺中は両群とも高いFiO2で管理されているので差が出にくかったのではないかといった意見や、そもそも認知機能という複雑で原因が多岐にわたるような病態を紙1枚で評価可能なものなのか、といった意見が挙がりました。

藤井先生、植田先生お疲れ様でした!肺保護戦略の論文は今後も注目していきたいと思います。

亀田総合病院 麻酔科 後期研修医 寺尾英梨奈

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療