2020.12.4 M&Mカンファレンス

今回は人工心肺離脱時のプロタミン投与により、難治性低血圧となった症例についての話でした。

プロタミン投与により見られる、低血圧を伴う有害事象は3パターンに大別され、最も頻度が多いものはTypeI(急速投与によりヒスタミンを介した静脈拡張・venous return減少)、その他に稀なものとしてTypeII(IIa,IIb,IIcと細分化されるが、IgEを介する真のアナフィラキシー、その他アナフィラキシーに似た反応)、TypeIII(ヘパリンープロタミン複合体により誘導されたトロンボキサンを介した肺血管収縮+低血圧)があります。
今回の症例は、プロタミン投与数分後から見られた低血圧であり、同時にCVP・PAPがやや上昇するという非典型例でした。

TypeIIa(プロタミンに対するIgEが原因で生じるアナフィラキシー)については、予防することが困難ですが、その他の反応については緩徐投与が一番の予防であるため基本的な緩徐投与を徹底することが大切です。TypeIIIが疑われる場合、再ヘパリン化により再ポンプに備えつつ、ヘパリンープロタミン複合体のサイズを小さくする作用が期待できるということは、個人的には新たな知識でした。

改めて、プロタミンショックについて調べ直す機会となりました。

亀田総合病院 麻酔科 後期研修医 藤井 真理映

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療