2022.02.13 抄読会

担当:杉山先生

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  • 麻酔下の脳腫瘍患者を対象に、脳血流と毛細血管通過時間の不均一性で測定される脳の大循環と小循環について、エフェドリンとフェニレフリンの治療法を比較した。
  • 仮説は、脳の特定の領域における毛細血管通過時間の不均一性は、エフェドリン投与時よりもフェニレフリン投与時の方が大きく、その結果、脳の酸素濃度が低下するというもの。


<方法>

  • 前向き、単施設、平行群、二重盲検、無作為化対照試験
  • 18-75歳の24人の全身麻酔下脳腫瘍患者をランダムに割り付け
  • 血管収縮薬(フェニレフリン vs エフェドリン)投与の投与前と投与中でMRI撮影
  • 主要評価項目: 毛細血管通過時間の不均一性(脳組織の微小循環の指 標)の群間差

<結果>
患者20のデータによると、対側半球の毛細血管通過時間の平均(± SD)の不均一性は、フェニレフリン投与時に増加し、エフェドリン投与時減少した。

<まとめ>

  • 同程度の平均動脈圧エンドポイントに達したにも関わらず、フェニレフリンは毛細血管通過時間の不均一性の変化で測定される対側組織の微小循環をエフェドリンに比べて悪化させた。
  • エフェドリンは両脳領域の脳血流と組織酸素化を改善し、脳のマクロおよびミクロの血行動体と酸素化の改善においてフェニレフリンより優れている可能性がある。

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療