長崎大学熱研ケニア拠点、ケニアッタ国立病院の皆様が当院を訪問されました。
9月29日から10月1日、長崎大学熱帯医学研究所ケニアプロジェクト拠点の彦根先生、ケニアッタ国立病院の呼吸器内科医師、呼吸器内科看護師、臨床工学士の皆様が当院を訪問されました。
この度、長崎大学病院熱研内科出身の伊藤博之部長にお声がけいただき、長崎大学、国立健康危機管理研究機構が合同で行う、「ケニアにおける超音波気管支鏡導入と専門看護師・臨床工学士育成事業」に参加させていただきました。
当院は気管支鏡件数や海外からの研修受け入れ実績が多く、今回は主に気管支鏡検査・気管支鏡の洗浄手技、ならびに検査室・集中治療室・手術室における看護師/臨床工学士の業務をご見学いただきました。
研修中、ケニアッタ国立病院呼吸器内科の先生方による講演会を開催いただき、現地における医療事情の一端に触れる貴重な機会となりました。特に以下の点が印象に残りました。
・HIV関連感染症(特に結核・ニューモシスチス肺炎)が多い。
・結核はHIV非合併例でも依然多く、後遺性の肺線維化を呈する症例も少なくない。
・結核に比し、非結核性抗酸菌症は相対的に少ない。
・サルコイドーシスには人種差が指摘され、アフリカ系集団では罹患頻度・重症度が高いとされる。
・家庭内のバイオマス燃料(薪・木炭など)による家庭内大気汚染(household air pollution:HAP)が、非喫煙女性におけるCOPDの一因となっており(参考:van Gemert FA, et al. Expert Rev Respir Med. 2018;12(3):227–237)、煙突付きの改良かまど等の介入が行われることがある。
・ケニア・エチオピア・ウガンダの東アフリカ成人喘息コホートで、喘息の重症度とフェノタイプが検討され、医療アクセスの課題により治療が十分に行き届いていない現状が明らかになっている(参考:Kirenga B, et al. BMJ Open Respir Res. 2020;7(1): e000484)。
当科は国際医学教育を通じた社会貢献をミッションの一つに掲げており、今回の交流を契機に継続的な連携を進めてまいります。調整いただいた齋藤先生、彦根先生をはじめ長崎大学の先生方、並びにご協力くださった当院各部署の皆様に心より感謝申し上げます。来年度も当院における研修・意見交換の機会をさらに整え、皆様の再訪を心よりお待ち申し上げます。
長崎大学の気管支鏡プロジェクトについては、以下のリンクをご参照ください。



