スポーツ医学とは24- ゴルフ肘について

前回は、テニスのストロークを繰り返し行うことで肘(ひじ)が痛くなる「テニス肘」についてお話ししました。テニス肘は肘の外側に力が入ると痛む障害で、スポーツに限らず重い物を持ち上げたり、タオルをきつく絞るなど、生活の中でも肘に無理な力がかかることで発生するとご紹介しました。今回は、同じ肘に発生する「ゴルフ肘」についてお話ししようと思います。

「テニス肘」が肘の外側の骨の出っ張った部分が痛くなるのに対して、「ゴルフ肘」では肘の内側の骨の出っ張り(内側上顆)が痛みます。ゴルフでダフって(土をたたいてしまって)起こることが多く、そのため「ゴルフ肘」と呼ばれるとも言われています。

なお、ハンディひとケタの上手なゴルファーではもちろん起こりにくく、私のようにスコアが100をきるのもままならない下手なプレーヤーに起こりやすいとされます。前述のとおり、ダフったり、クラブを握る手が力んでいるために起こりやすいスポーツ障害です。

通常、人が物を握る動作では手首が反ります。これは前回お話ししたように、手首を反らす筋肉(手根伸筋)が働くためです。一方、強く握りつつ手首を手のひら側に強く曲げるような動作では、手根屈筋という筋が働きます。これは少々「不自然」な姿勢なのですが、この際に働く手根屈筋が肘の内側上顆に付着するのです。この内側上顆への付着部に炎症が起こると「ゴルフ肘」が発生します。

ゴルフ肘の治療においては、まず何よりも運動療法が重要です。写真にお示ししたように指を伸ばしながら手首を反らすストレッチが最も効果的です。これにより手根屈筋が引きのばされ、繰り返し強く収縮しても内側上顆に強い牽引力がかかりにくくなるとされています。ほかには、消炎鎮痛剤の内服、塗布、さらにステロイドの局所注射なども治療効果があるとされています。
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亀田総合病院スポーツ医学科では肘の治療に力を入れています。肘のスポーツ障害の保存的、手術的治療いずれにおいても最先端の治療を行っています。肘の障害は原因が多岐にわたりますので、ご自身の肘の痛みの原因が不明な方は、是非スポーツ医学科外来の受診をお勧めいたします!

スポーツ医学科 大内洋

このサイトの監修者

亀田総合病院
スポーツ医学科主任部長 大内 洋

【専門分野】
スポーツ整形外科、関節鏡手術、スポーツ整形外科疾患に対する超音波診断
PRP療法、体外衝撃波、高気圧酸素治療の最新治療法