急性膝蓋骨脱臼

【膝蓋骨脱臼とは】

 膝蓋骨は人体で最も大きいとされている種子骨で、大腿骨の膝蓋骨面と接して膝蓋大腿関節を形成しています。この膝蓋骨が何らかの原因で大腿骨膝蓋面から逸脱してしまっている状態を膝蓋骨脱臼と言います。急性の膝蓋骨脱臼の多くはスポーツ中に起こると言われており、膝蓋骨が脱臼すると、膝の外側に脱臼した膝蓋骨を触れることができます。膝蓋骨は脱臼した後に自然に整復されてしまうこともありますが、自然整復されない場合は無理せずに医師に相談しましょう。

【膝蓋骨脱臼が起こるメカニズム】

 膝蓋骨の側面から直接衝撃が加わったり、膝軽度屈曲、外反した状態で下腿が大腿骨に対して過度に外旋してしまうと膝蓋骨が外側に押し出されます。その結果膝蓋骨を外側に外れないように緊張している内側膝蓋大腿靱帯などの内側膝蓋支帯が断裂し、膝蓋骨が外側に脱臼します。

【膝蓋骨脱臼に付随する損傷】

 膝蓋骨脱臼により膝蓋骨・大腿骨外側顆の骨軟骨損傷が発生する事が知られています。脱臼に伴って発生した小さな骨の破片が関節内に遊離してしまった場合、正常な軟骨を傷つける恐れがあります。          

【保存療法】

 受傷後3〜6週間固定し、固定除去後にリハビリが開始されます。膝蓋骨の再脱臼を予防するために大腿四頭筋、特に内側広筋斜走線維の筋力強化や、脱臼肢位(膝軽度屈曲+膝外反+下腿外旋)とならないように体幹や股関節周囲の筋力強化を行う必要があります。過去の報告2) では急性外傷後の保存療法の再脱臼率は14〜39%とされています。

【手術療法】

 過去の報告2) では急性外傷後の手術療法の再脱臼率は0〜31%とされており、保存療法と大差がないため、手術療法についてはまだ議論されています。しかし、脱臼に伴った軟骨片や骨片が関節内に遊離してしまっているものや、内側広筋付着部の断裂、明かな内側支帯の断裂などが有る場合は急性期でも適応となることがあります。

1) DeLee: DeLee and Drez's Orthopaedic Sports Medicine, 3rd ed, volume2,2009,Saunders,1534-1537

2) Stefancin JJ et al:First-time Traumatic patella dislocation:A systematic review. Clini Orthop 455:93-101,2007