腫瘍内科レクチャー

今日の腫瘍内科レクチャーは下記でした。

  1. 日本での先天性過凝固症候群で代表はアンチトロンビン(AT)欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症です。それぞれ500人に1人くらいいるとされています。これらの物質は全て肝臓で作られて、人間の血液が過剰に凝固しないように働いています。

  2. この中でアンチトロンビン欠損症が一番過凝固です。もっとも血栓症のリスクが高いです。

  3. アンチトロンビン(AT)はその名前の通りトロンビン(最も活性のある凝固因子)を直接抑制します。その他にも第Xa因子と第IXa因子も抑制します。ヘパリンはアンチトロンビンの作用を1000倍に増強します。そして主にATと一緒にトロンビン(第IIa因子)と第Xa因子を不活化します。そのためヘパリン治療中は凝固検査でaPTTが延長します。

  4. 抗凝固薬のヘパリンはATによるトロンビンと第Xa因子抑制を増強する。ヘパリンを酵素で分解して小分子にしたものが低分子ヘパリンで主にATの第Xa因子抑制の部分だけ増強する。ヘパリンと低分子ヘパリンは動物からの抽出物です。ヘパリンのATの第Xa因子に作用する部分だけを人工的に合成したものがフォンダパリヌクス(アリクストラ)です。ヘパリン類はこの3種類があります。基本全て第Xa因子を抑制する薬剤と考えて下さい。

  5. ヘパリン以外の直接第Xa因子抑制薬(ATは介さない)はDOACである、エドキサバン、アピキサバン、リバロキサバンですね。

  6. トロンビンをATを介さないで直接抑制出来る薬剤は2つあります。1つはもう一つのDOACのダビガトランと、注射薬のアルガトロバンです。

  7. このように現存する主な抗凝固薬はトロンビンまたは第X因子を抑制することで作用を発揮します。唯一ワルファリンだけ全く別のメカニズムで作用します。ビタミンKにより合成されるII/VII/IX/X因子の合成を阻害するのですね。でもワルファリンが産生を抑制する物質の中にもII(proトロンビン)と第X因子が入っていますよね。

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参考文献

  1. 辻 肇. 先天性アンチトロンビンIII(ATIII)欠損症, 血栓止血誌12(1):74〜77,2001
  2. 山本 晃士. プロテインC(PC)欠乏症, 血栓止血誌12(2):149〜153,2001
  3. 中山 享之,小嶋 哲人. プロテインS欠乏症, 血栓止血誌12(3):235〜239,200