第14回日本臨床腫瘍学会学術集会で三浦大典医師が「当科における骨修飾薬による重症低カルシウム血症4例の検討」について報告しました

第14回日本臨床腫瘍学会学術集会(神戸 2016年7月28日〜30日)で三浦大典医師が下記を発表しました。


第14回日本臨床腫瘍学会学術集会

2016年7月28日〜30日 神戸国際会議場/神戸国際展示場

当科における骨修飾薬による重症低カルシウム血症4例の検討

三浦 大典、小山 隆文、齋藤 亜由美、平松 綾子、藤澤 孝夫、
長谷川 依子、長谷川 晶子、原田 陽平、久松 春佳、大山 優

亀田総合病院 腫瘍内科

【目的】

進行癌ケアにおける骨関連事象の制御は重要である。骨修飾薬の有害事象として重症低Ca血症は稀だが、致死的な転帰をたどりうる。Ca低下をきたしやすいリスク患者の特徴、発症時の管理に関して自験例の詳細を検討すると共に文献的考察を加え報告する。

【方法】

今回2012年1月-2016年1月に当院で経験した骨修飾薬による重症低Ca血症4例を検討した。

【結果】

男性2例、女性2例、年齢中央値56歳(55〜92)。原発は2例が前立腺癌、1例が胃癌、1例が乳癌。デノスマブ投与例が3例、ゾレドロン酸投与例が1例。デノスマブ投与3例はいずれも初回投与後に重症低Ca血症をきたし、ゾレドロン酸投与1例は3サイクル投与後に発症した。低Ca血症発症までの期間はデノスマブ投与例で平均7.7日(5-10)、ゾレドロン酸投与例は29日で、補正Ca値の最低値の平均値は6.7mg/dl(5.3-7.1)、治療前の補正Ca平均値は(8.1-9.7)で、CCr平均値は83ml/min(39-113)。いずれも多発転移を認めた。いずれも化学療法を継続中であった。

【考察】

自験例は薬剤投与後早期に重度の低Ca血症を来した。低Ca血症の発症リスクとしてCa代謝の代償機能不全が報告されており、本例も何らかのCa代謝代償機能不全があったと考え、後方視的検討を行った。当科の症例で4例に共通した要因はびまん性骨転移であった。その他に幾つかの要因の関与が考えられた。治療開始前にリスクを認識し、予防的な処置を行うと共にCa値低下に対して早期介入を行うことが重要であると考えた。

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亀田総合病院 腫瘍内科
三浦 大典

このサイトの監修者

亀田総合病院
腫瘍内科部長 大山 優

【専門分野】
がんの包括的医療、病状に応じた最善の治療の選択と実践