コラム

第5回 リンパ浮腫の評価法

リンパ浮腫診療においては、患肢の外見やボリューム、浮腫の性質のみではなく、個々の症例においてリンパ管の機能がどの程度保たれているかを把握することが、その後の治療成功の大きなキーポイントになりますコラム第3回参照)。

リンパ管の機能を評価するための検査方法としては、放射性同位元素を用いるリンパシンチグラフィ、SPECT-CT、造影剤を用いるインドシアニングリーン蛍光リンパ管造影(ICGリンパ管造影)、MRIリンパ管造影が代表的なものです。様々な病態や重症度に合わせ、これらの検査を組み合わせ個々の病態を把握することが大切になります。

当科では、まず通常の外来日に外来診察室で行えるICGリンパ管造影を行い、リンパ管の機能や重症度を評価しています。ただし、ICGリンパ管造影のみでは不十分な評価しかできない症例や、ICGリンパ管造影の検査結果と患者さんの自覚症状に大きい乖離がある場合は、その他の検査を追加します(「リンパ浮腫外来予約・受診・治療の流れ」参照)。

ICGリンパ管造影は、造影剤を用いはするものの使用する量は1ml以下と少なく、撮影に放射線装置も用いないため、造影剤を用いるリンパ浮腫の検査の中で最も低侵襲に行えるものです。この検査により、リンパ浮腫の臨床的重症度がわかると同時にリンパ管の変性も予測することができるため、保存療法や外科治療の戦略をたてる上でとても重要な役割を担っています。

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