microbiology round

今週のMicrobiology roundは、Serratiaでした。
Serratia属は、腸内細菌科で小型の運動性のある通性嫌気性GNR。腸内細菌科ですがヒトの腸内には通常常在していません。

20世紀前半までは病原性がないと考えられていましたが、1970年代中頃からヒトに感染症を起こすと認識されています。
15菌種以上のうち8菌種がヒトへの感染を起こすことが分かっており、中でも重要な菌種はS. marcescens。
コーンミールでできたイタリア料理(ポレンタ)が赤く変色していることをBartolomeo Bizioという薬剤師が1819年に報告。1823年に彼は原因微生物の培養に成功し、S. marcescensと命名。セラッティさんにちなんでSerratiaと名付けられたようです。
主に医療関連感染症と関係しており、眼感染症は特に緑膿菌についで頻度が多いようです。
AmpC過剰産生菌やESBL産生菌が問題になることがあります。
写真の赤いコロニーがSerratiaです。
このようにコロニーが赤くなることがあり(赤くならないこともありますが)、キリスト教の故事にちなんで「霊菌」と呼ばれたりします。
本当に血のように赤いですね。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長  細川 直登

【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育