未破裂脳動脈瘤に対する脳血管内手術(方法、治療成績と合併症)

    1997年、GDCという脳動脈瘤治療用に開発されたプラチナ製のコイルが本邦に導入され10年が経過しました。

    GDC

    ※動脈瘤に対するコイル塞栓術


    この間にコイルも非常に軟らかいタイプのものが開発されてきて種類も増え、こうした医療材料の進歩や血管撮影装置の解像度や精度の向上と相まって、治療成績が格段に向上してきております。
    また欧州・北米の先進国においては、脳血管内手術が脳動脈瘤治療の第一選択となってきており、その有効性・安全性が証明されつつあります。なにより患者さんにとって極めて楽な治療であることが示されております。

    当院では2004年より本治療を積極的に行っており、脳血管内手術で入院した場合は3~4泊という短い入院期間で脳動脈瘤を処置できるのも本治療の特徴です。

    しかしどんな最先端の治療法でも、極めて繊細な脳血管という部位や性質上、術中破裂(1%以下)や脳梗塞(2%)、造影剤による副作用など合併症の起こる危険性はゼロではありません。
    また脳動脈瘤の形状や部位によっては開頭手術の方が適しているものもあります。
    治療法の選択には高解像度のMRIや3D CTといった画像診断技術に基づく判断や綿密な外来での経過観察が欠かせません。
    開頭手術で豊富な経験をもつ医師と、脳血管内手術で豊富な経験をもつ医師双方の意見を聞くことができる点が当外来の特徴です。


    治療成績と合併症:未破裂脳動脈瘤 434例(1997年~2015年)
     手術死亡:なし
     合併症 7例 (内訳: 脳梗塞 5例、ヘパリン起因性血栓症1例、腎不全1例)
      麻痺など恒久的神経症状の出現:3例(3例とも家庭復帰)


このサイトの監修者

亀田総合病院
脳神経外科、脳血管内治療科 主任部長

【専門分野】
脳卒中の外科治療、脳血管内手術、脳機能解剖学、脳循環代謝学、脳動脈瘤に対する血管内手術、頚動脈ステント術、脳血管奇形、硬膜動静脈瘻、脳動静脈奇形、脊髄血管奇形、顎顔面血管腫