不動寺センター長のERひとりでできるもん:第4話 賢く意識障害を鑑別しよう 〜AIUEOTIPSから抜け出そう〜
KMC ERでの週に1回の不動寺センター長によるER Tipsレクチャーの模様です。
初期研修医やもっとERを学びたい後期研修医向けに一人でER当直を乗り切れることを目標としています。
このコラムを読んで、ER診療brush upの一助になれば 幸いです♪
※Tipsの一部を紹介
- AIUEOTIPSの問題点
検査前確率の見積もりなしに検討している
全てを検討するため時間がかかる
全ての疾患が却下されれば、意識障害の原因は闇の中へ。。
→ 構造的疾患 薬物 代謝性 Coma mimic の4分類で考えてみる - 構造的:脳出血・脳腫瘍・硬膜外血腫・水頭症・脳梗塞
脳梗塞で意識障害が起こることは多くはない「後方循環、両側の広範囲脳梗塞 前方循環は少ない」 - 薬物:一酸化中毒 半減期は室内気で6時間、100%酸素で60%になる→ほっておけば下がっていく 救急隊は発見したら高濃度酸素を1時間以上吸わせておく 暴露から数週間後に症状が出る間欠的一酸化炭素中毒は後遺症残すことがある
- 代謝性 片麻痺でくる低血糖に注意する 髄膜炎で発熱、頂部硬直、意識障害の三徴候が揃うことは稀 jolt accentuationは有名だが文献数も少なく有用性は不明
- Coma mimic Locked in syndrome akinetic syndrome psychogenicなど
- 意識障害の患者を見て気をつけること
情報収集が鍵となる(家族、発見者、救急隊より情報を得る)
最近の状態、既往歴、薬物歴、内服歴などを確認する
発見時の状況や発見時意識レベルを正確に聴取する
薬物パッケージの検索も忘れない - 意識障害の発症 → 時系列を意識する
突然:血管
数時間から数日:薬物、感染など この経過ではCTが必要な可能性低い - アルコール中毒をみたら
Premature closure、Diagnostic anchoringに注意する( 酒飲んで倒れてるだけじゃん、で思考停止にならないように)
アルコールを患者見たら、、低血糖 脳出血 頭部外傷(+頚椎損傷)も鑑別としてあげておく
アルコールがさめてからの帰宅が危険回避になるかもしれない - 最後に、、
意識障害=CTではないので、鑑別をあげずに闇雲にすぐCTに行かないこと
このサイトの監修者
亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明
【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科