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Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta Improves Cardiac Compression Fraction Versus Resuscitative Thoracotomy in Patients in Traumatic Arrest.
Teeter W. et al.
Ann Emerg Med. 2018 Apr 20. pii: S0196-0644(18)30162-8. doi: 10.1016/j.annemergmed.2018.02.020.

外傷心停止患者に対する蘇生において、Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta(REBOA)とResuscitative Thoracotomy(RT)を使った大動脈遮断について、Cardiac compression fraction(CCF, 蘇生全体の時間に対する、胸骨圧迫または開胸心臓マッサージを施行している時間)で比較した前向き観察研究。結果はREBOAを使った大動脈遮断を行った蘇生の方が、有意にCCFが高かった。REBOAとRTの比較は様々な形で試みられているが、決定的なものはなかった。本研究はCCFに着目した前例のない試みとなる。

集団の異質性が高く、単純な比較は困難といえる。そもそも外傷心停止においてCCFが蘇生の質を反映するかどうかも明らかではない。また、横隔膜下の出血でREBOAを、胸腔内の出血でRTを行うようにアルゴリズム化されているための選択バイアスや、盲検化されていないことによる観測者バイアスが強く影響している。手技そのものの技術や経験数が影響することを考えると、一般化可能性は低い。本研究の結果のみではREBOAかRTの選択を変更するものではないが、外傷蘇生において両手技による影響をCCFで比較するという発想はユニークで、今後の発展が期待される。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科