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[A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial of Naproxen With or Without Orphenadrine or Methocarbamol for Acute Low Back Pain ]
Friedman BW etal. Ann Emerg Med. 2018 Mar;71(3):348-356.e5. doi: 10.1016/j.annemergmed.2017.09.031. PMID:29089169

米国の救急センターにおける急性腰痛患者に対するNSAIDsとオルフェナドリンとメトカルバモールの併用の効果に関するRCT。
背景としては米国において救急患者の約2.4%(269万人)の急性腰痛患者のうち約25万人もの患者に上記薬剤が処方されている。NSAIDsやステロイドなどいくつかのRCTが出ているが、上記薬剤に対するRCTがないことや上記処方の有用性を検討すべくRCTが組まれた。
デザインはRCT、double-blindで2016年3月から11ヶ月間の期間にThe Albert Einstein College of Medicine Institutional Review BoardにおいてN.Y,とBronxの2つの救急センターで行われた。
患者群は非外傷性、非神経根性かつ筋骨格性疼痛、RMDQ5点以上、帰宅可能な18歳から69歳までの腰痛患者であり、除外項目としては2週間以上、妊婦、授乳中、日常的な麻薬使用であった。1473人集計し、240人に対してRandomizedが行われた。ナプロキセン+プラセボ、ナプロキセン+オルフェナドリン、ナプロキセン+メトカルバモールの3群に分けられた。
Primary outcomeは、1週間後のRMDQスコアの改善だったが、それぞれ10.9 RMDQ points (95%CI 8.9to12.9)、9.4 RMDQ points (95%CI 7.4to11.5)、8.1 RMDQ points (95%CI 6.1to10.1)と有意差を認めなかった。また、Secondary Outcomeの1週間後の24時間以内での重症度、頻度、24時間以内での内服使用、次も同様の内服したいかに関していずれも有意差は認めなかった。
この論文のstrengthとしては、CQが実用的であること、上記薬剤に関して初のRCTであること、服薬に関するBlindの患者評価もなされていること、製薬会社などの基金など受けずに施行されていることである。Limitationsは、Selection biasの影響を受けており、慢性腰痛患者が除外されていることで除外患者も多く、実際のER設定を考慮しても一般可能性が低いだろう。また多重検定に対する調整に関しての記載がないことやRMDQスコアの有用性評価も検討されるべきである。
数々のLimitationsはあるが、ERにおいて積極的に筋弛緩薬の使用はなさそうではあるが、今後多重検定の調整やSelection bias、患者群のExclusionなどを考慮した上で、さらなる研究が望まれる。
この論文を読んだ上で、我々のpracticeが変わることはなく、ERでの上記Inclusionでの患者群に対して筋弛緩薬の使用は推奨されないだろう。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科