急性胃腸炎の小児患者に対してProbioticsは有効か?

[Title]
Multicenter Trial of a Combination Probiotic for Children with Gastroenteritis
N Engl J Med. 2018 Nov 22;379(21):2015-2026. doi: 10.1056/NEJMoa1802597. Stephen B, et al.

[Introduction]
米国では小児の急性胃腸炎による救急外来受診頻度は年間170万件である。Probioticsは治療の選択肢のうちの一つとされ、開発が進められProbiotics市場は年間330億ドルと多大な額が使用されている。これまで様々な臨床研究がされてきたが、2010年のCochrane reviewによると、割付、盲検化、隠匿、追跡調査に関して適切に示されている論文はわずか16%であり、その有効性に関しては定まったエビデンスは無かった。各国のガイドラインにおけるProbioticsの推奨に関しても様々である。

[Research Question]
3-48ヶ月の急性胃腸炎の小児患者にProbioticsを投与すると14日後の中等症-重症の胃腸炎を予防できるか。

[Method]
カナダの6箇所の3次救急施設での他施設無作為化比較試験。24時間で3回以上、72時間以内の下痢症状を伴う3-48月の急性胃腸炎患者886人を、Probiotics (Lactobacillus rhamnosus, L. helveticus 4.0×109 CFU) を1日2回5日間内服する介入群とプラセボを1日2回5日間内服する対照群と1:1で割り付けた。除外基準は免疫抑制薬状態や胆汁性嘔吐、下血、慢性消化管疾患、14日以内のProbiotics内服、大豆アレルギーなど。主要評価項目は14日時点でのModified Vesikari score ≧ 9で定義される中等度-重度胃腸炎の発生率。先行研究でプラセボ内服群での中等症-重症胃腸炎の発生率は25%であったので、10%を臨床的に有意差とし、10%の追跡不可例や5%の脱落例、さらに2.5%のクロスオーバー例を見越してサンプル数を886人と設定した。早期中止基準に関しては、LanDeMetsらのα消費関数を用いたグループ逐次デザインが使用された。

[Result]
14日以内での中等症-重度の胃腸炎発生率はProbiotics群で108/414 (26.1%)、プラセボ群で102/413 (24.7)、オッズ比1.06 (95% CI 0.77-1.46)でP値0.72と両群で有意差は無かった。また副次評価項目に関しては、下痢、嘔吐それぞれの持続期間、医療機関の受診頻度、有害事象、デイケアの欠席日数や保護者の欠勤日数全てで有意差は見られなかった。嘔吐の頻度のみProbiotics群で有意な低下を認めた。

[Implication]
サンプル数も十分で質の高い研究デザインであり内的妥当性も高いが、外的妥当性に関しては、カナダ国内のみの研究であるため他の地域での病原体や感受性の疫学は異なることや、Probioticsの菌種が本研究ではLactobacillusのみであるため他の菌種で同様の必ずしも同様の結果を示すことは言えないことなどが挙げられる。4歳以下の胃腸炎に対するProbiotics 投与による経過中の中等度以上の症状を予防する効果は期待できず、今後Systematic reviewやさらなるRCTが期待される。

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