不動寺センター長のERひとりでできるもん:第15話 低体温のみかた
KMC ERでの週に1回の不動寺センター長によるER Tipsレクチャーの模様です。
初期研修医やもっとERを学びたい後期研修医向けに一人でER当直を乗り切れることを目標としています。
今回は、この時期に増えている低体温に対する対応です。
今年1発目のERひとりでできるもん。院内でもひとりでできるもんいいよね〜と色々な方から周知・注目されるようになってきました。
今後も救命救急センターとして学びを続けていきます!
※Tipsの一部を紹介。
☆全ての患者にprimary surveyを
☆重症度で復温方法を考えよ
☆二次性低体温の鑑別を持っておけ
- 低体温の定義は35度未満
- 食道温がもっとも正確
- 低体温時のABCD
A:気道確保されていれば経過観察 外傷併発時の頸椎カラーは忘れやすい
B:酸素解離曲線の左方移動で抹消での酸素供給は減少する
C:保温した外液を急速投与、rewarming shockに注意、CV挿入の心刺激に注意
D:低血糖に注意、32度以上復温して頭部CTを考慮 - 二次性の原因
体温中枢障害(脳卒中、頭部外傷、下垂体機能不全、腫瘍)
末梢性熱産生障害(脊髄損傷、末梢神経障害)
内分泌障害(アルコール、副腎不全、低血糖、DKA)
その他熱産生低下(低栄養、薬物)
体温喪失(熱傷、薬物、輸液、敗血症、出血性ショック) - 保温途中の心静止の対応
頸動脈を60秒触れて心停止を確認
除細動は1回行い30度まで待つ
AHAではアドレナリン投与は通常通り
ERCでは30度になるまではショック3回まで、35度まではアドレナリン投与間隔を2倍にする
CPRを行いながらVA-ECMOを考慮する
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このサイトの監修者
亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明
【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科