不動寺センター長のERひとりでできるもん:第14話 熱傷
KMC ERでの週に1回の不動寺センター長によるER Tipsレクチャーの模様です。
初期研修医やもっとERを学びたい後期研修医向けに一人でER当直を乗り切れることを目標としています。
今回は、軽症から重症までの熱傷の初期対応に関してレクチャーがありました。
※Tipsの一部を紹介。
- SDBとDDBとDB
SDB(Superficial dermal burn ) IIS 二度浅:水泡形成を伴い底がピンク 瘢痕は残さない 強い疼痛 灼熱感 10日で治る
DDB(deep dermal burn)二度深:水泡形成を伴い底が白 痛みはIIDより弱い(神経が焼けている) 瘢痕を残す 自然経過でも治るが3-4週間ほどかかる
DB(Deep burn)三度:表皮周囲からしか再生しない 硬化し「焦げている」様子 熱傷部位は全てDebridmentする(感染巣) - 熱傷で形成に相談するタイミング
→DDBとDB
但し、SDBでもDDBに移行することがあるので注意が必要 - 熱傷のFirst aidは?
- まずは冷やす これが律速
- 指輪は外す(浮腫んでくる)
- 水道水で疼痛が落ち着くまで少なくとも5分間(長すぎるとふやける)冷水・氷水は有害 - 局所処置
洗浄とデブリ
-刺激の少ない石鹸を用いて洗浄
- 破裂した水泡の除去
- 未破裂の水泡を破るかどうかの議論は決着がついていない→不動寺Dr.は基本的に大きい水泡は破る、その他のものは2-3日後に除去する
- DDB以上の熱傷は疼痛少ないため積極的に洗ってよい
軟膏塗布 乾燥が疼痛を増悪する 創傷治癒
- DDBは抗菌薬入り軟膏を推奨
- ステロイド軟膏の有効性はない
- 固着しないガーゼを使用(メロリンガーゼ) - その他、被覆材の選択方法、重症熱傷時の初期対応についてレクチャーありました。
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このサイトの監修者
亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明
【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科