不動寺センター長のERひとりでできるもん:第10話 めまいのアプローチ
KMC ERでの週に1回の不動寺センター長によるER Tipsレクチャーの模様です。
初期研修医やもっとERを学びたい後期研修医向けに一人でER当直を乗り切れることを目標としています。
このコラムを読んで、ER診療brush upの一助になれば 幸いです♪
※Tipsの一部を紹介。
・従来のめまいはvertigo、disequilibrium、light-headless、presyncopeで分けろと言われていた。
→今回は、TiTrATE diagnostic approachとシンプルアプローチを紹介
■TiTrATE diagnostic approach
Timing(onset duration evolution) 、Triggers(actions motions situations)、Targeted bedside examinationで考慮していく。
1、Timing:EVS(Episodic Vestibular Syndrome)かAVS (Acute Vestibular Syndrome)を鑑別
2、Triggers:EVSはtriggered EVSとspontaneous EVSと分類され、AVSはpost exposure AVSとspontaneous AVSと分類。
t-EVSをみたらBPPV, CPPV, orthostatic hypotension
s-EVSをみたらmigraine, meniere, vasovagal, panic disorder
post-AVSをみたら外傷、薬物(抗痙攣、CO中毒、アミノグリコシド)
s-AVSをみたら前庭神経炎、脳梗塞(脳幹、小脳、内耳神経)、Chronic vestibular syndrome
3、Targeted bedside examination:
それぞれの鑑別に合わせて、HINTSやDix-Hallpike、眼球運動などで評価する
■シンプルアプローチ
病歴、神経診察で脳幹・小脳症状がないかを検討する。
同時により内耳性である所見がないかも検討する。
末梢性と思われれば眼振(頭位眼振、頭位変換眼振)を確認する。
末梢性と思われても最後に必ず歩行させて異常がないか診察する(PICA病変は体幹失調とめまい・ふらつきしか症状がないことがあるので注意)
1. 病歴、神経診察 神経症状・眼球運動障害で脳卒中、蝸牛症状・耳鳴り・難聴で内耳性(メニエル病)
2. 頭位眼振、頭位変換 持続性の方向固定性水平性眼振で前庭神経炎 Dix-HallpikeでBPPV
3. 起立歩行検査 障害あれば脳卒中(小脳虫部)
◯病歴
本当にめまいか?失神ではないか
再発を繰り返すか
頭位変換に伴うか、安静時か
発作の持続時間は?
関連兆候は? 複視、顔面まひ、しびれ、構語障害、吃逆、耳鳴り、難聴
頭部外傷があったか
+神経症状、眼球運動障害
このサイトの監修者
亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明
【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科