亀田QQ卒業生インタビューvol.4

亀田救急科を卒業された後、当院で整形外科研修をし、専門医取得され、現在兵庫県淡路医療センターにて勤務されている横尾先生からメッセージをいただきました。亀田研修医にとっては救急も整形も教えてくださる優しいお姉さんとして活躍されていました。志望科を決める葛藤や専門科でも救急を学んで良かった点などをお話いただきました。

名前:横尾由紀(卒後10年目)
所属:兵庫県立淡路医療センター 救急科
資格:日本救急医学会専門医、日本整形外科学会専門医

救急医というと皆さまはどんなイメージをお持ちでしょうか。

重症症例を前にするとアドレナリン全開。
沈着冷静で、何が起こっても動じない。

私の場合、どちらも違いました。しかも研修医の頃、救急が苦手だったのです。その私がなぜ救急科専門医になれたのでしょうか?

初期研修医の頃、命を救える自信がなかった私は、将来何科にも進めない気がして悩んでいました。しかし2年目の夏、レジナビで「救急興味ない?」と声をかけてくださった野田先生(亀田QQ卒業生インタビューvol.2)の一言で、運命が変わりました。

「進路なんて、今決めなくてもいいじゃない。僕も決まっていない。一緒に考えようよ」

亀田総合病院救命救急科の魅力は、まず実に色々な先生方がおられるということです。外傷外科医になりたい、海外で医療をしたい、故郷の救急をレベルアップしたい、科によらず全ての緊急に対応できるスーパードクターになりたい、世界を変えたい。そこには「苦手だからこそ学びたい」という人間をも受け入れてくれる、懐の深さがありました。
二つ目に、一次救急から三次救急まで幅広い症例に出会えるのも魅力です。歩いて来る重症者にも遭遇し、「これは危険だ」というサインに気づくための訓練には最適な環境だったと思います。また、都会では見ない農機具による外傷、破傷風(稀に)、ツツガムシ病、マムシ・海洋生物の咬刺傷にも出会えます。
そして亀田総合病院での研修を選んだ最大の理由は、科全体が教育熱心だからです。医局勉強会で知識のupdateをするのはもちろん、毎日自分の診療した症例について上級医からフィードバックを受け、反省点だけではなく良かった点も評価することができました。

このように魅力的な仲間と環境に育ててもらい、私は救急科専門医を取得しました。3年間の研修後は整形外科へ移りましたが、病棟での急変や、骨折の合併症に対応しなくてはいけないとき、救急で学んだ知識が今でも確実に生かせていると思います。

現在勤務する淡路医療センターでは、救急搬送3016例、ドクターカー出動81例、重症外傷(ISS>16)142例(2017年度)の診療を行っています。2017年より外傷センターが開設され、重症外傷症例の救急要請が入ると、直ちに外科、整形外科、形成外科、脳外科、放射線科のオンコールが救急外来に集まり、協力して治療を行うというシステムが確立しています。見学者大歓迎です。

進路に悩んでいる研修医の皆様へ。

苦手だからこそ学びに行くという選択肢はいかがでしょうか。努力する前から自分に向いてないと決めつけず、可能性の幅を広くもつと、先に見える景色が違ってきます。


救急科長、亀田地域ジェネラリストプログラム卒業生の平山先生と共に


淡路医療センター 外観


屋上からの景色


救急外来診察風景


鳴門海峡の渦潮(病院から車で約30分)


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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科