安房地域医療センター 救急科:中山惠美子先生

安房地域医療センター 救急科 センター長
中山惠美子 先生

略歴

2006年に東京女子医科大学医学部を卒業し分院にて初期研修。亀田総合病院救命救急科にて救急科専門医取得後に産科救急、小児救急の修練を積み国際医療活動を開始。2013年以降は国境なき医師団、JICA関連事業、船医などを行っている。2018年にはイギリスで公衆衛生学修士号取得。2021年より安房地域医療センター救急科にて勤務。

これから救急医になる皆さんへ

私は2006年に大学を卒業し、初期研修は大学病院の分院で行いました。初期研修医時代の私は、目の前の業務をこなすことに精一杯で、臨床判断の根拠を深く考える姿勢や、「患者さんの命を預かる」という責任感は十分ではなかったように思います。そんな中で見学した亀田救急では、一つひとつの臨床判断に必ず根拠があり、それをチームで共有しながら診療している姿がとても印象的でした。ここなら、自分に最も欠けているものを学べると思い、後期研修に進みました。
後期研修の3年間は決して楽なものではありませんでした。同期や上級医の先生方との差を痛感し、自分の未熟さに向き合い続ける毎日でしたが、周囲の先生方は最後まで見捨てず、厳しくも温かく育ててくださいました。あの3年間で、私は初めて「医師として責任を持って判断する」ということを本当の意味で学んだと思います。
当初は外傷IVRを専門に考えていましたが、研修を通じて次第に災害医療や国際医療に関心を持つようになりました。後期研修修了後は、産科救急・小児救急を学び、その後、国境なき医師団での活動にも参加しました。東日本大震災や海外での医療活動を経験する中で、「病院で待っているだけでは救えない命」が数多くあることを痛感し、2017年にはロンドンで公衆衛生学を学びました。
現在は、亀田の関連病院である安房地域医療センターで二次救急に携わっています。当院は、亀田病院まで搬送に時間を要する重症患者さんを適切に初期安定化し、高次医療機関へ確実につなぐ役割を担っています。「救命の連鎖」を途切れさせないことは地域医療の中で非常に重要な役割であり、私はそこに大きな誇りとやりがいを感じています。病院で待っているだけでは届かない命を、一人でも多く次につなげることが、今の自分の使命だと考えています。
亀田救急の強みは、単に救急診療の技術を教えるだけではなく、“generalist”としての土台を徹底的に育ててくれることだと思います。私自身、研修中に思い描いていたキャリアと、今歩んでいる道は少し違っています。でも、さまざまな経験や出会いの中で、自分が本当に大切にしたいことは少しずつ変わっていくものなのだと思います。後輩の先生方にも、最初から完成された将来像を持っていなくても大丈夫だと伝えたいです。目の前の患者さんや仲間との経験を大切にしながら、自分なりの「医師としてのあり方」を探し続けてほしいと思います。
一覧に戻る