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主要な非心臓手術におけるトラネキサム酸の病院標準方針は輸血を減少させる

勉強会
2026.07.23 麻酔科抄読会サマリー
Hospital Policy of Tranexamic Acid to Reduce Transfusion in Major Noncardiac Surgery

N Engl J Med 2026;394:2419-28.
DOI: 10.1056/NEJMoa2515820.

目的

先行研究である「POISE – 3 trial」では出血リスクは低下することが示されたが、トラネキサム酸投与群で術後血栓症リスクはプラセボと比較して非劣性であり、血栓リスクについては課題が残った。またトラネキサム酸が標準的に投与されることが多い整形外科手術の割合が多かったことやがん患者におけるトラネキサム投与に伴う血栓リスクの評価は不十分であった。
本研究では、上記課題を踏まえ、大規模な非心臓手術を受ける患者に対して、病院全体の方針としてトラネキサム酸を投与することで、静脈血栓塞栓症(VTE)の発生率を臨床的に問題となる程度に増加させることなく、赤血球輸血の実施率を減少させられるかどうかを検証した。

PICO

P:輸血リスクが高い(推定5%以上)主要な非心臓手術を受ける成人
I: トラネキサム酸の静注投与 手術開始時に1g + 閉創前に1g
C:プラセボ 0.9% 生理食塩水の静注投与
O:共同主要評価項目 
 ①有効性:入院中の赤血球輸血
 ②安全性:術後90日以内の深部静脈血栓症/肺血栓症

結果

カナダの10施設で登録された8,273例の患者が、2つの主要評価項目(co-primary outcomes)の解析対象となった。腫瘍外科手術が60.5%(8,273例中5,002例)を占め、先行研究の27.6%と比較して多く含まれた。入院中に赤血球輸血を受けた患者の割合は、トラネキサム酸群では 7.4%(4,156例中306例)プラセボ群では 9.8%(4,117例中403例)であった。相対リスクは0.73(95%信頼区間[CI]0.61~0.86)であり、調整後の絶対差は−2.7パーセントポイント(95% CI −4.2~−1.4)であり、トラネキサム酸の投与により、入院中の赤血球輸血の必要性が有意に減少したことを示した。
一方、術後90日以内の静脈血栓塞栓症(VTE)の発生率は、トラネキサム酸群で 2.1%(4,128例中86例)プラセボ群で 2.1%(4,052例中85例)と概ね同じであり、相対リスクは0.96(95% CI 0.65~1.38)、調整後の絶対差は−0.1パーセントポイント(95% CI −0.9~0.7)であり、あらかじめ設定された非劣性(noninferiority)の基準を満たした。

会場での議論

・今回の研究設計では輸血量に病院ごとのばらつきがあることも予想され、病院の違いか薬剤による影響を見ているのか疑問が残る。
→論文内では病院ごとのばらつきにはあまり言及なく、病院ごとの輸血方針の違いにも言及乏しい。薬剤の使い方、方針もアバウトな印象がある。病院ごとの治療方針の違いが反映されている可能性は残りそう。

・Figure 2(サブグループ解析)において、vascular surgery 群でだけトラネキサム酸投与群の方がプラセボ群より輸血多くなっているが理由は?
→明確な言及なし(オッズが1を跨いでいるからあまり傾向を気にしないでいいのでは?)

・トラネキサム酸には痙攣のリスクがあるので脳血管障害の患者での使用には注意