IT研修の振り返り
活動報告
〜医療従事者としてやるべき仕事に、勤務時間全体の何%を費やせていますか?〜
突然ですが、みなさんはこの問いに何%と答えるでしょうか?「やるべき仕事」の定義は人によって異なると思います。この割合が高い方は、恵まれた環境で働けているのかもしれません。しかし、日常診療の中で「もっと効率よくできないか」と感じる場面があるのも事実ではないでしょうか。
麻酔科専攻医として研修中の私は、当院の情報システム部と連携して診療をサポートするアプリケーションの開発に携わるという貴重な経験をしました。ここでは、その活動について報告します。
麻酔科専攻医として研修中の私は、当院の情報システム部と連携して診療をサポートするアプリケーションの開発に携わるという貴重な経験をしました。ここでは、その活動について報告します。
1.IT研修を行うきっかけ
ITに関心を持ったきっかけは、医学生時代に遡ります。病院実習で日々の診療を学ぶ中、医療現場における日本メーカーの少なさを実感しました。医療機器やソフトウェアの多くは欧米メーカーがシェアを占めており、生成AIの進化とともにさらにその差が広がっています。2025年8月の日本経済新聞の記事によると、日本の「デジタル赤字」は半年で約3.48兆円に達し、旅行収支をも上回る状況です。このニュースは、医療現場のニーズとシーズをつなぐ仕事の重要性を再認識するきっかけとなりました。
幸運にも麻酔科の研修中、プログラミングを始める機会を得ました。当科のある先生に「Pythonをやってみませんか?プログラミングは楽しいですよ」と勧められたのがきっかけです。当初は環境構築やエラー対応に苦労しましたが、指導を受けながら学会発表や研究に必要なデータ解析、グラフ作成を自分でできるようになり、次第にプログラミングに没頭するようになりました。
当院は、日本で初めて電子カルテを導入した病院としても知られています。2025年には、病院内の各部門で分散管理されていたデータを統合するため、Databricksというデータ基盤を導入しました。
亀田総合病院、データブリックスの 「データ・インテリジェンス・プラットフォーム」を採用 データとAIを活用し、持続可能な医療を目指す
当科部長の後押しもあり、IT研修として、最高デジタル責任者や情報システム部のスタッフとともに、業務効率化を目的としたアプリケーションの開発に携わる貴重な経験をすることになりました。
幸運にも麻酔科の研修中、プログラミングを始める機会を得ました。当科のある先生に「Pythonをやってみませんか?プログラミングは楽しいですよ」と勧められたのがきっかけです。当初は環境構築やエラー対応に苦労しましたが、指導を受けながら学会発表や研究に必要なデータ解析、グラフ作成を自分でできるようになり、次第にプログラミングに没頭するようになりました。
当院は、日本で初めて電子カルテを導入した病院としても知られています。2025年には、病院内の各部門で分散管理されていたデータを統合するため、Databricksというデータ基盤を導入しました。
亀田総合病院、データブリックスの 「データ・インテリジェンス・プラットフォーム」を採用 データとAIを活用し、持続可能な医療を目指す
当科部長の後押しもあり、IT研修として、最高デジタル責任者や情報システム部のスタッフとともに、業務効率化を目的としたアプリケーションの開発に携わる貴重な経験をすることになりました。
2.J-OSLER支援アプリの開発
現在、内科専攻医は専門医試験の受験に際し、約30症例分の病歴要約を作成する必要があります。機構が発表している病歴要約の例を見ると、多くはカルテ内に既に記載されている、もしくは格納されている情報をまとめる内容です。ところが、これらの情報はカルテシステム内で散在しており、専攻医たちが1つ1つの画面を開いて手入力する作業に多くの時間を割いているのが現状です。
そこで今回、「J-OSLER支援アプリ」を開発しました。このアプリでは、カルテシステムから必要な情報を抽出し、生成AIを活用することで、患者IDと入院期間を選択するだけで病歴要約の大部分が自動生成されます。この仕組みは、情報の正確性とセキュリティを両立させており、他分野への応用も期待されています。現在、内科専攻医の先生方に実際に使用していただき、現場の声を反映しながら改良を重ねています。
そこで今回、「J-OSLER支援アプリ」を開発しました。このアプリでは、カルテシステムから必要な情報を抽出し、生成AIを活用することで、患者IDと入院期間を選択するだけで病歴要約の大部分が自動生成されます。この仕組みは、情報の正確性とセキュリティを両立させており、他分野への応用も期待されています。現在、内科専攻医の先生方に実際に使用していただき、現場の声を反映しながら改良を重ねています。
3.麻酔科術前外来サマリ作成アプリの開発
IT研修を通じて、最も学んだことは、アプリケーションの中核を担うデータベースについての知識です。プログラミングを始めた当初、扱っていたデータベースの多くは、エクセルの表のように構造化されたデータでした。このようなデータベースでは、各行を参照して複数の表を組み合わせる仕組みが一般的です。例えば、J-OSLER支援アプリでは、カルテ内の必要な情報を特定し、それをアプリ上に表示するように設計されていました。具体的には、患者のヘモグロビン値が「○○○○」というデータ項目名で表されているように、構造化データを利用して情報を引き出す形です。
しかし、医療情報の多くは構造化データだけで成り立っているわけではありません。レントゲン画像、心電図、呼吸機能検査、心エコー検査レポート、カルテ記載など、エクセルの表で表しづらい非構造化データも少なくありません。当院で導入されたデータ基盤「Databricks」は、これらの構造化データと非構造化データを一元管理する「Data Lake」を利用しており、この技術がアプリケーション開発の大きな基盤となりました。
このDatabricksを基盤として生成AIを組み合わせた「麻酔科術前外来サマリ作成アプリ」では、当院のカルテシステムとリアルタイムに連携し、患者ごとの術前サマリをワンクリックで作成することが可能になりました。このアプリを用いることで、予習にかかる時間が1患者あたり5〜10分短縮され、1日30件の術前外来を行う当院では、3〜6時間の労働時間削減を実現しています。この成果は、業務の効率化を図るだけでなく、医療従事者がより重要な業務に集中できる環境づくりにも大きく寄与しています。
しかし、医療情報の多くは構造化データだけで成り立っているわけではありません。レントゲン画像、心電図、呼吸機能検査、心エコー検査レポート、カルテ記載など、エクセルの表で表しづらい非構造化データも少なくありません。当院で導入されたデータ基盤「Databricks」は、これらの構造化データと非構造化データを一元管理する「Data Lake」を利用しており、この技術がアプリケーション開発の大きな基盤となりました。
このDatabricksを基盤として生成AIを組み合わせた「麻酔科術前外来サマリ作成アプリ」では、当院のカルテシステムとリアルタイムに連携し、患者ごとの術前サマリをワンクリックで作成することが可能になりました。このアプリを用いることで、予習にかかる時間が1患者あたり5〜10分短縮され、1日30件の術前外来を行う当院では、3〜6時間の労働時間削減を実現しています。この成果は、業務の効率化を図るだけでなく、医療従事者がより重要な業務に集中できる環境づくりにも大きく寄与しています。
4.最後に
現在も、日々の臨床をサポートするさまざまなアプリケーションの開発を、当院の情報システム部と連携しながら進めています。当科では、専攻医の要望に合わせた研修プログラムを柔軟に組むことが可能です。私の場合、麻酔関連業務にとどまらず、IT研修を通じて情報システム部と協働するという貴重な経験を得ることができました。この場を借りて、この取り組みを支えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。
当院の新しい取り組みに興味をお持ちの方は、ぜひ見学にいらしてください。
専門医研修プログラム
当院の新しい取り組みに興味をお持ちの方は、ぜひ見学にいらしてください。
文責 麻酔科専攻医 光石清人