ちょっとためになる話14:魔女の一撃?(腰痛の話 その1)

ドイツではぎっくり腰のことを『魔女の一撃』というのを知っていますか?

腰痛の頻度

 現在、日本人のかかえている健康問題で最も頻度の多いものはなんでしょうか?厚生労働による「国民生活基礎調査」では、第1位が腰痛、第2位が肩こり、第3位が関節痛で、運動器の痛みや'こり'が上位3位を独占しています。日本人の約7割以上が生涯には腰痛を経験するといわれています。腰痛の頻度は、加齢とともに増加する傾向がありますが、どの年代でも発生しています。腰痛は特別な病気ではありません。

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急性腰痛の原因

 重いものを持ち上げようとしたとき、急に体をひねったときなど、ほんのちょっとしたきっかけで腰に激痛が走ることがあります。まさに「魔女の一撃」。ぎっくり腰(急性腰痛)の主な原因は「腰椎捻挫(ねんざ)」と言われています。多くの場合このような腰痛は、数日の安静で痛みは軽減してきます。
 しかし全ての腰痛が良性の経過をとるとは限りません。椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などのほかに、骨粗鬆症や転移性腫瘍に伴う圧迫骨折や背骨の腫瘍、炎症、腫瘍など様々な「腰」の病気が腰痛の原因となることが知られています。
 脊椎の病気の他にも、内臓の病気(解離性動脈瘤などの循環器疾患、腎炎や尿管結石など泌尿器科疾患、子宮筋腫や卵巣脳腫など婦人科疾患、胆嚢炎や消化器癌など消化器疾患など)が腰痛の原因となっていることもあります。また精神医学的問題(うつ病、不安神経症など)や心理的な原因(家庭内の不和、職場の問題など)が腰痛の背景に潜んでいることもあります。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療