ちょっとためになる話7:腰椎椎間板ヘルニア2

 前回の話を聞いて自分がヘルニアかも?と思った人はいませんか??今回は少し詳しい話をしていきます。
 クッションカバー(線維輪)が破れて、中の髄核が飛び出したのが椎間板ヘルニアです。最もヘルニアが起きやすい椎間板は第4腰椎と第5腰椎の間(下から二番目)、第5腰椎と仙骨の間(一番下)の2カ所です。脱出したヘルニアが神経を圧迫し、急激な腰痛とともに下肢の痛みやしびれを来します。これが座骨神経痛です。よくお医者さんで「坐骨神経痛」と言われる人がいると思いますが、これは病名ではなく症状です。お腹が痛いと言っているのと同じようなものです。症状が強い場合には痛みだけでは無く、筋肉の麻痺により足を持ち上げにくくなったり(下垂足)、尿が出にくいなどの障害(排尿障害)を来すことがあります。

post_34.gif イラストを見てください。同じレベルのヘルニアでも、内側に脱出すると一つ下の神経が、外側に脱出すると一つ上の神経が圧迫されることがわかりますね。そして、痛みの起こる場所は障害を受けた神経により異なります。例えば第5腰髄神経 (L5) が障害された場合には、おしりから太ももの後ろを通って、すねから親指にかけて痛みが走ります。
 足の麻痺や排尿障害を来した場合には緊急手術が必要になります。できるだけ早く病院を受診してください。症状が腰痛や座骨神経痛だけの場合には、安静や消炎剤の服用などにより症状は改善します。どうしても痛みが強い場合には、神経根ブロックをしてもらっても良いかもしれません。約80%位の人が保存的治療により症状は改善すると言われています。
 保存的治療でも痛みが改善しない場合や、麻痺や排尿障害がある場合には手術が必要になります。私たちは手術用顕微鏡を用いた安全な手術を行っています。手術の適応や方法などは我々「脊椎脊髄外科医」にご相談ください。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療