ちょっとためになる話1:しびれについて
「ちょっとためになる脊椎脊髄と末梢神経の話」では皆さんに背骨や神経に関するうんちくや興味深いエピソードを交えながら、分りやすくお話していく予定です。初回はしびれについてです。
皆さんは「しびれ」と聞いて何を思い浮かべるでしょう?
- 正座で足がジンジンするしびれ
- 電気に感電したときのビリっとするしびれ
ではそんなしびれに共通していることは何だかお分りですか?
それはズバリ「神経」なのです!
人間の体は全身くまなく神経のネットワークが張り巡らされています。その中心となるのが脳と脊髄であり、中枢神経と呼ばれます。一方脳や脊髄などから伸びて全身に広がっている神経を末梢神経と呼んでいます。
末梢神経は全身で受けた感覚を脳や脊髄に伝えたり、逆に中枢からの情報を伝え身体を動かすなどの役割を持っています。また、よく耳にする自律神経もこの末梢神経の一つで、内臓や血管などをコントロールする働きを持っています。
私たちが感じるしびれとは、簡単に言えばこの末梢神経が異常な信号を伝えているものなんです。
このしびれは、病気の大事なサインの一つです。例えば、腰を悪くすると足がしびれることがあります。これは腰の障害によって一本の末梢神経が圧迫され、その神経全体に異常が伝わるため、足の痺れとして感じられるのです。
つまり足の末梢神経が伝える異常な信号であるしびれが腰の病気を知らせるサインになっているのです。このようにしびれが起きる陰には必ず原因となる病気があります。
しびれには全身性のもの、局所性のものなど様々なものがあります。その中にはすぐに治療が必要な病気もあり、油断は禁物です!
局所性--脊髄や脳の病気、圧迫や締め付けによる神経障害など
全身性--糖尿病性神経障害、遺伝性の病気、ギランバレー症候群、栄養障害、薬の影響など
とにかくしびれを感じたら病気を疑うことが大事です。まずは当院しびれ外来への受診をお願いいたします。
次回以降、しびれをきたす具体的な病気の話に入っていきます。
第2回;手根管症候群
ご期待ください!
このサイトの監修者
亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫
【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療