首の痛み・肩こり

kubi.jpg 首の痛み(頚部痛)や肩こりは、日常多くの人が経験する症状で、必ずしも専門的な治療が必要とは限りません。その中には、何らかの病気の症状として起きていることもありますので注意が必要です。

 長時間同じ姿勢で作業をする人に多いのが「頚肩腕症候群」です。名前の通り、首から肩、腕にかけて痛みや重だるさを訴えます。長時間同じ姿勢を続けると、筋肉の血流が悪化し、「乳酸」などの疲労物質が蓄積するのが原因と言われています。適度な運動を心がけてください。ストレッチやマッサージは有効です。痛みのせいで体を動かさないでいると、さらに筋肉が緊張して症状がますます悪化します。ストレスや精神的な緊張が原因となることもあります。

 「頚椎ねんざ(むち打ち症)」は、交通事故やスポーツなどで首に衝撃を受けたときにおこります。急性期には頚部カラーを使用したり、鎮痛剤(痛み止め)を服用したりします。痛みが改善してきたら、早めに元の生活に戻すように心がけてください。事故の後には、しびれや筋力の低下など、神経症状が発生することがあります。けがをしたときには、早めに専門の医療機関にご相談ください。

 頚部痛や肩こりだけではなく、神経症状を合併する場合には注意が必要です。頚椎椎間板ヘルニア頚椎症性脊髄症頚椎後縦靱帯骨化症などの病気がかくれていることがあります。脊髄や神経の病気では、「箸がうまく使えない」「ボタンが留めにくい」など細かな作業がしにくくなります(巧緻運動障害―こうちうんどうしょうがい)。また、つまずきやすいなどの歩行障害、おしっこが出にくいなどの排尿障害も脊髄の症状として起こることがあります。神経症状を伴う場合には、早めに専門の医療機関にご相談ください。

 肩こりや首の痛みを感じても、筋肉のこわばりや痛みだけで、日常生活に支障がなければ様子を見ていただいてよいでしょう。しかし、首が自由に動かない、痛みがだんだん強くなる、日常生活に支障がある場合には専門の先生にご相談ください。特にしびれや巧緻運動障害、歩行障害などの神経症状を伴う方は必ず医療機関を受診してください。

このサイトの監修者

亀田総合病院
脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫

【専門分野】
脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患の外科治療