咳嗽を主訴とする患者で、気管支喘息が鑑別に挙がる際は強制呼気で呼吸音を聴取する。

呼吸器内科外来、また一般内科外来においても咳嗽を主訴とする患者さんが多く訪れます。

咳嗽では、急性気道感染症、感染後咳嗽、逆流性食道炎、気管支喘息(咳喘息含む)、アトピー咳嗽、後鼻漏など、様々な鑑別が挙がります。


患者にアトピー素因が存在したり、夜間から朝方にかけて咳嗽が著明であったり、喘息の家族歴を持つ場合は、咳喘息や気管支喘息が鑑別に挙がります。

特に軽症の喘息の場合は、静かな呼吸では喘鳴が聴取されず、強制呼気時や運動時にのみ聴取される場合があります。
(N Engl J Med. 2013 Aug 8;369(6):549-57)


よって咳嗽を主訴とする患者さんで、気管支喘息が鑑別に挙がる際は、強制呼気で呼吸音を聴取することが大切です。

もし喘鳴(wheezesもしくはrhonchi)が聴取されれば、気管支喘息発作の可能性が高くなりますので、経口ステロイド内服や吸入ステロイドで治療的診断を行います。


ただし、喘鳴(wheezesもしくはrhonchi)を来たす病態には、COPDや心不全や、稀に上気道〜中枢気道狭窄(甲状腺腫瘍、腺様嚢胞癌など)を呈する疾患も存在しますので、必要に応じて、血液検査、スパイロメトリー、胸部画像検査など追加検査も考慮することが重要です。


take home massage 軽症の喘息では、静かな呼吸では喘鳴が聴取されず、強制呼吸時や運動時にのみ聴取される場合がある。咳嗽を主訴とする患者で気管支喘息が鑑別に挙がるときは、強制呼気で呼吸音を聴取する。

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患