非入院患者におけるCovid-19の経口治療薬モルヌピラビルの有効性

新型コロナウイルス感染症に対する経口薬であるモルヌピラビルの有効性と安全性に関する論文がNew England Journal of Medicineに12月16日に掲載されました。

モルヌピラビルは、日本でも2021年12月24日に正式承認されており、今後の有用性が期待されています。

Molnupiravir for Oral Treatment of Covid-19 in Nonhospitalized Patients
N Engl J Med. 2021 Dec 16.
doi: 10.1056/NEJMoa2116044.
Epub ahead of print. PMID: 34914868.

  • Covid-19の進行リスクを低減するために、新たな治療法が必要とされている。
  • Covid-19重症化の危険因子を少なくとも1つ持つ、軽症から中等症の、入院していないワクチン未接種のCOVID19感染症を有する成人を対象に、徴候または症状の発現後5日以内に開始したモルヌピラビルによる治療の有効性と安全性を、第3相二重盲検無作為プラセボ対照試験で検証した。
  • 本試験の参加者は、モルヌピラビル800mgまたはプラセボを1日2回、5日間投与する群に無作為に割り付けられた。有効性の主要評価項目は、29日目の入院または死亡の発生率とし、安全性の主要評価項目は、有害事象の発生率とした。
  • 全体で1433人の参加者が無作為化を受け、716人がモルヌピラビル、717人がプラセボを投与された。中間解析において、29日目までのあらゆる原因による入院または死亡のリスクは、モルヌピラビル投与群(385 例中 28 例[7.3%])がプラセボ投与群(377 例中 53 例[14.1%])より低かった(差、-6.8%ポイント ; 95% 信頼区間、-11.3〜-2.4 ; P=0.001)。
  • 無作為化を受けた全参加者を対象とした解析では、29日目までに入院または死亡した参加者の割合は、モルヌピラビル群がプラセボ群よりも低かった(6.8%[709例中48例]対9.7%[699例中68例]、差、-3.0%ポイント、95%信頼区間、-5.9〜-0.1)。
  • 有害事象は、モルヌピラビル群710人中216人(30.4%)、プラセボ群701人中231人(33.0%)に報告された。
  • 結論として、モルヌピラビルの早期投与により、Covid-19ワクチンを接種していないリスクの高い成人における入院または死亡のリスクが減少した。

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患