IPF Seminar in Kamogawaを開催 〜沖縄県立中部病院呼吸器内科 喜舎場朝雄先生 特別講演〜

2018年10月22日に亀田メディカルセンターにて、沖縄県立中部病院呼吸器内科 部長 喜舎場朝雄 先生にお越し頂き、IPF Seminar in Kamogawaを開催しました。

喜舎場先生には、「特発性肺線維症の診断ポイントと急性増悪について」というテーマで、特別講演を行って頂き、当科 青島主任部長が座長を務めました。

喜舎場先生は、間質性肺炎に関する次のTIPS・ポイントについて、講演でお話頂きました。


  1. IPFの咳は、夜間は少ない
  2. 肺高血圧の合併は三尖弁逆流を伴うので、深吸気時に増強する胸骨左縁のII音聴取がヒント
  3. PM/DMではある姿勢を取ったときのだるさが近位筋由来の症状のヒントになることがあり、だるさが局所に由来するのか、全身性疾患の反映なのか、あるいは鬱などの精神的要因に由来するものなのか、重視する
  4. IPF患者で足首の浮腫は肺高血圧を考えるヒント
  5. 2018のATS/ERS/JRS/ALATのガイドラインではIPFの診断のアルゴリズムではCT検査が重視されているが、CTに行くまでの病歴や身体所見が軽視されている印象がある
  6. あたらしいこのガイドラインのCT分類でのindeterminate UIPでは画像のスリガラス陰影に目がいきがちだが、網状影の存在がUIPを考える上では重要
  7. 急性増悪が欧米よりも日本で多いと認識されているのは、増悪に関連する遺伝子の存在(=遺伝的素因)のほかに、CTのアクセシビリティがよいため、比較的軽症(早期)の増悪も診断可能であるという医療事情も関係しているかも知れない

最近のデータを数多く取り入れつつ、病歴や身体所見を重視する姿勢の素晴らしい講演でした。とても引き込まれるような講演で感動しました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患