間質性肺炎におけるKL6の臨床的意義

間質性肺炎において、KL-6が上昇することは、有名です。
亀田総合病院でも院内で測定可能となっており、間質性肺炎の診療に役立っております。
今回、あらためてKL-6の臨床的意義についてまとめてみました。

KL6とは?

KL-6は、5000kDa以上のMUCムチンに属する糖蛋白のひとつで、肺では主にII型肺胞上皮細胞から産生され、間質性肺疾患における血清KL-6の上昇は、II型肺胞上皮細胞の障害や産生を反映する。 (Chest.1989;96:68-73)
(Am Rev Respir Dis. 1993;148:637-642)

特発性肺線維症、過敏性肺炎、サルコイドーシス、膠原病関連間質性肺炎などの疾患活動性のバイオマーカーとしての有用性が報告されている。(Am Rev Respir Dis. 1993;148:637-642)
(Br J Radiol.2009;82: 212-218)
(Am J Respir Crit Care Med.1997;156:109-115)

KL-6とSPA, SPDの比較

(1)感度と特異度
間質性肺炎の血清マーカーとしては、KL-6以外にSP-A、SP-D、MCP-1が知られているが、KL-6が、間質性肺炎において最も感度(94%)、特異度(96%)が高いことが報告されている。
(Am J Respir Crit Care Med. 2002;165(3):378)

(2)上昇のタイミング
通常、間質性肺炎急性増悪の初期にSP-Dが上昇し、少し遅れてKL-6は上昇してくることが多い。またステロイド奏功時には、SP-D、KL6の順に低下する。大塚らの報告では、KL-6は間質性肺炎の急性増悪後10日目にピークに達した。血清マーカー上昇のタイミングがずれる機序としては、分子サイズの違いや、生理的環境下での存在形態の違いなどが挙げられている。 (日呼吸会誌 2001;39(4):p298-302)
(肺癌. 2004;44:11-17)


(3)胸部CT所見との関係
KL-6は、すりガラス陰影の肺野面積に占める割合(5つの断面で測定)と相関するが、線維化病巣(牽引性気管支拡張の存在する区域の数)との相関がより強い。
(Respir Med. 2010 Jan;104(1):127-33)

SP-A、SP-Dはすりガラス陰影として認められる胞隔炎の程度と相関があり、線維化病巣である蜂巣肺との広がりとの相関は低い。 (Am J Respir Crit Care Med 2000;162: 1109-1114)

KL-6と予後予測

特発性肺線維症27例の検討において、KL-6 1000U/mL以上の場合には、1000U/mL未満と比べて予後が不良であった。生存期間中央値は、KL-6値が高い群(1000U/mL以上)では18ヶ月、KL-6値が低い群(1000U/mL未満)では36ヶ月であった。
(Respirology. 2006;11:164-168)

ARDSにおいて、生存例と比較して死亡例では、全経過を通じてKL-6値は高値を呈していた。 (Eur Respir J. 2004;23(1):142-5)

間質性肺炎以外にKL-6が上昇する疾患

肺胞蛋白症、ニューモシスチス肺炎、びまん性汎細気管支炎などでも上昇する。

肺腺癌、乳癌、膵臓癌などの腺癌や、肺扁平上皮癌でも上昇する場合があるので、癌を合併した間質性肺炎のKL−6の解釈においては注意を要する。

健常者、有疾患対照群、間質性肺炎群(特発性間質性肺炎、過敏性肺炎、膠原病関連間質性肺炎)の合計547例を対象とした検討では、KL-6陽性率(カットオフ500U/mL)は、健常者0.5%、膠原病1.6%、肺炎3.1%、肺気腫2.4%、気管支拡張症10.7%および肺結核23.7%に対して、特発性間質性肺炎 95.0%、過敏性肺炎 89.7%、膠原病関連間質性肺炎では58.5%であった。 (臨床と研究 1998;11:164-168)

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