喘息予防・管理ガイドライン2015に長時間作用性吸入抗コリン薬が追加

2015年5月に出版された喘息予防・管理ガイドライン2015において、長時間作用性吸入抗コリン薬(Long Acting Muskarinic Antagonist:LAMA)が治療ステップ3以降に追加となりました。

ただし、喘息における長期管理薬として承認されているLAMAは、チオトロピウムのソフトミスト吸入器(スピリーバレスピマット®)のみなので、注意して下さい。

また、あくまで気管支喘息の安定期治療の第一選択薬は、吸入ステロイドになります。

よって、LAMAの使用にあたっては、吸入ステロイド薬を併用することが必須となります。


チオトロピウムは高用量の吸入ステロイド薬(ICS)および長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の治療でも喘息症状が残る(重症持続型)喘息患者で呼吸機能をさらに改善し、増悪予防の効果があることが示されました。
(N Engl J Med. 2012 Sep 27;367(13):1198-207.)

このように実臨床では、ICSとLABAの治療でもコントロールが困難な喘息で、3剤目の吸入薬として使用することが考慮されます。

他にはACOS(Asthma-COPD overlap syndrome)は、ICS+LAMAの2剤治療の良い適応になると思われます。

LAMA使用にあたっては、閉塞隅角緑内障では禁忌であり、前立腺肥大のある患者では排尿障害の増悪に注意する必要があります。


Take home message 喘息予防・管理ガイドライン2015において、今日時間作用性吸入抗コリン薬(LAMA)が治療ステップ3以降に追加された。喘息の長期管理薬として承認されているLAMAは、スピリーバレスピマット®のみ。気管支喘息の安定期治療の第一選択薬は、吸入ステロイド(ICS)であり、LAMAの使用にあたっては、ICSを併用する。実臨床では、ICSと長期間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の2剤治療でもコントロールが困難な難治性ぜんそく患者における3剤目の吸入薬としての使用や、ACOSに対するICS+LAMAによる2剤治療が考慮される。

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患