元後期研修医・林健太郎先生からの報告 Pediatric Surgery Joint Meeting 2018(第75回直腸肛門奇形研究会)

当院の消化器外科後期研修では、多くの外科手術に関わることができますが、もちろん肛門疾患も研修することができます。亀田で学んだことを応用して、自ら選んだ小児外科の分野で新しい道を開拓しようとしている小児外科医・林健太郎先生より学会発表報告が届きました。


亀田総合病院で4年間一般外科・消化器外科で研修し、現在東京大学小児外科、埼玉県立小児医療センターにて小児外科医として勤務しております。
毎年日本小児外科学会では秋に秋季シンポジウムを開催しており、同時に複数の研究会が開催され、Pediatric Surgery Joint Meeting(PSJM)と称して全国から小児外科医が集まり、議論を交わします。
今回、PSJM2018のうち、第75回直腸肛門奇形研究会にて「直腸肛門奇形術後の患者における経肛門超音波の使用経験」を発表してきました。
直腸肛門奇形(鎖肛)は生まれつき正常な位置に肛門がなく、直腸が膣や尿道と交通してしまっている疾患です。将来的に正常に排便できるように肛門括約筋の位置を確認して手術を行うのですが、それでも便失禁や便秘などで管理に困ってしまうこともあります。
亀田総合病院の直腸肛門科で排便障害に対する様々な検査や管理を行っていたのを見ていたので、それらを小児外科でもできないかと考え、今回は経肛門超音波を直腸肛門奇形(鎖肛)の手術をした子ども達に実施した結果の報告をさせていただきました。
筋肉などはMRI検査を行うことで評価できますが、MRIを撮影するには長時間の安静が必要です。子ども達は長時間安静を保つことが難しいので、検査をするには鎮静をかけて入院で行わなければなりません。負担が非常に大きく、呼吸抑制などのリスクも負うことになります。この検査を超音波で代用できれば鎮静が不要で、短時間で済むため非常に有用である可能性があります。今回は使用経験として報告し、今後、有用性を検討していく予定です。
会場からは具体的なやり方や、MRIとの比較などについて質問がありました。
経肛門超音波は亀田総合病院で多く使用されており、今回の発表は高橋知子先生に非常に多く助けていただきました。今後、亀田総合病院で学んだ様々な管理・検査を小児へ応用していきたいと思います。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
消化器外科部長 高橋 知子

【専門分野】
肛門疾患、排便機能障害、分娩後骨盤底障害