緩和ケアの対象はがんの患者さんだけですか?
モルヒネは安全な薬ですか?
モルヒネなどの医療用麻薬(オピオイド製剤)を長期間飲み続けて、麻薬中毒にならないか、心配なのですが?
家族が末期のがんで入院できる緩和ケア病棟を探していますがどこも空きがなく、困っています。亀田メディカルセンターにはどうして緩和ケア病棟がないのですか?(今後も作らないのですか?)

本来は緩和ケアの対象はがんのみならず、治癒不可能な疾患すべてを対象とするべきとされていますが、日本の医療事情ではまだまだがんの患者さまのみを対象としている場合が殆どです。
今後日本の医療事情が良い方向に変わってそうなる日が近くなることを願っています。
当院では、疾患に関わらず、患者さまの痛み(あらゆる側面の痛み)、つらさ、苦しみに関して他の診療科を協力して併診にてサポートする体制をとっています。
ご自分が緩和ケアの対象になりうるかどうかはお気軽に担当看護師、担当医師に聞いてみてください。

モルヒネは医療用麻薬に区分されますが、正しく使用することで他の薬では効かないがんの強い痛みにも優れた鎮痛効果を発揮します。
他の薬同様、副作用もありますが、通常問題なくコントロールすることができます。
がんの痛みの90%位は適切な方法でコントロールできるといわれています。
ひどい痛みがある場合には決して我慢せずに担当の医師、看護師あるいはその他のスタッフに相談してください。
入院患者さまの難しい痛みには緩和ケアコンサルトが適応ですので、これについても担当スタッフに相談されるとよいと思います。

モルヒネなどの医療用麻薬(オピオイド製剤)を長期間飲み続けて、麻薬中毒にならないか、心配なのですが?

多くの患者さまはこのことを心配されます。
患者さまによってリスクの多少があるとされ、薬物中毒の既往のある患者さまにはオピオイドの使用に際しても注意が必要で、オピオイドの開始に際しては治療による利益とリスクのついての説明と同意の後、治療を開始します。
薬物中毒の既往のない患者さまについては、実際上、オピオイドに対する身体的依存、精神的依存が問題となるケースはほとんどないとされています。
ですから、痛みのモニターとともに、薬の飲む量と回数などを経時的に観察することで、問題なく治療継続が可能です。

家族が末期のがんで入院できる緩和ケア病棟を探していますがどこも空きがなく、困っています。亀田メディカルセンターにはどうして緩和ケア病棟がないのですか?(今後も作らないのですか?)

ご指摘の通り、現在亀田メディカルセンターには緩和ケア病棟はありません。当院で提供している緩和ケアは他科との併診という形で行っております。つまり、基礎疾患(何らかのがん)で入院されている場合に主治医, 担当医から緩和ケア科にコンサルト依頼を頂き、ひとりひとりの患者さまごとに必要なサービスを提供させていただくものです。
緩和ケア病棟(ホスピス病棟)で亡くなる日本人は、がんによる全死亡者の約5%のみであり、約85%は急性期病院(一般病院)で亡くなっています。今後の急速な高齢化とがんによる死亡者増に、緩和ケア病棟のみでは全く対応ができず、日本人のがん患者の殆どが現状のままでは、緩和ケアを受けることは現実的に不可能であると言われています。
そこで、現状を理解している厚生労働省が力説しているのが、“急性期病院の一般病室で緩和ケアチームが横断的に提供する緩和ケア”です。
当院では、緩和ケア病棟でなくても、一般病棟で緩和ケア病棟レベルの緩和ケアを提供できることを目標に努力しております。
反面、一般病室で緩和ケアを行う良い点もいくつかあります。
1)通常ならまだ緩和ケア病棟入所の適応にならないまだ全身状態の良い患者さまで、まだ化学療法などの積極的な治療中に、ひどい痛みやその他の困難な症状あるいはつらさを持っておられる場合に、早期からの緩和ケアサービス開始が可能です。
2)一般病室で緩和ケアを提供することで、一般患者さまとホスピス患者さまを区別しない良さがあるといわれています。
ホスピスという特別な施設には入りたくないが、緩和ケアは受けたいという患者さまには一般病室の緩和ケアの方が向いていると思われます。
皆様もご存知の通り、日本では慢性的に看護師、緩和ケア医が不足しており、緩和ケア病棟を新たに設けることが困難な状況が続いています。しかしながら、院内医療者や地域住民の緩和ケア専門病床開設への要望は常に高いため、当院では2006年に『緩和専門病床開設プロジェクト』を立ち上げ、2010年4月の開設を目標に緩和専門病床の準備をしています。これからもより良い緩和ケアサービスに向けて努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。
緩和ケア科ニュース | 2007-08-08