『リンパ浮腫外来』のご案内

リンパ浮腫のケアについて ~安心して日常生活が過ごせるように~
亀田総合病院緩和ケアチーム 緩和ケア認定看護師 千葉恵子
(フェルディー式医療徒手リンパドレナージセラピスト)


はじめまして。2008年6月から亀田総合病院で仕事をさせて頂いています千葉恵子と申します。
私は、2005年に緩和ケア認定看護師を取得したときにはじめて『浮腫』に対してケアがあることを知りました。そこで、2007年に学校へ通い、フェルディー式医療徒手リンパドレナージセラピストの資格を取得しました。とても残念なのは、医療者でも浮腫に対するケアがあることを知らないのです。
不安を抱えながら生活をされている方や実際に発症してしまいお困りの方が安心して日常生活を過ごせるようにサポート出来ればと思っております。


【リンパ浮腫とは?】
リンパ浮腫は、一次性(生まれつきのもの)、二次性(乳がん、子宮がん、前立腺がんなどの術後に起きるもの)などがあります。
リンパ管の障害があるために、吸収・運搬・排除する能力が低下することにより、皮下組織内に組織間液が過剰に溜まった状態をいいます。
リンパ浮腫は珍しい病気ではなく、日ごろから注意さえしていれば決して恐ろしい病気ではありません。


【リンパ浮腫の経過】


  1. 軽度のリンパ浮腫の場合、自覚症状も比較的少なく、違和感がある、周りの皮膚より少し厚みがある、といったような状況です。

  2. 水分が多く、浮腫を改善させやすい時期が次に起こります。手足を高くして休めば翌日改善する、はっきりとした違和感がある時期です。圧迫痕が残りやすくなります。この時期にそのまま放置すると症状は少しずつ進行していきます。

  3. 皮膚が線維化を起こし硬くなってくる時期です。皮膚の厚みが増えます。指で皮膚を押すと、弾性に飛んだスポンジのような手応えがあり、押しても後が残りにくくなります。

  4. さらに線維化が増強し、皮膚が厚みを増し、硬くなります。また、感染を繰り返し、浮腫をさらに悪化させる状況になります。

いったん発症したリンパ浮腫を完治させることは困難です。しかし先ほども言いましたが、日常生活に注意して浮腫を発症しにくくすることや、発症早期に発見して治療を開始することで、完全に元のように戻ることは残念ながら難しいのですが、元の状態に近いくらいまで、また、安楽に過ごせるようになります。お時間はかかるかもしれませんが、諦めずにケアを行っていくことが大切です。


【複合的理学療法について】
リンパ浮腫の治療は、複合的理学療法を呼ばれ、1.スキンケア(感染予防) 2.リンパドレナージ 3.圧迫療法 4.圧迫した状態での運動療法の4つの治療を合わせて行っています。


  1. スキンケア
    むくんだ皮膚は傷つきやすく、炎症を起こしやすいため、ひび割れや水虫などの感染症に気をつけなくてはいけません。保湿クリームや適切な軟膏を使用してください。感染により、リンパ管炎や蜂窩織炎が起こるとより浮腫が増強することにもなります。日々のケアが重要になります。

  2. リンパドレナージ
    エステなどの美容のドレナージと違います。皮膚や皮下組織にたまったリンパ液を正常なリンパ節にまで誘導するようにドレナージ(排液)を行います。

  3. 圧迫療法
    体の水分は重力にしたがって手足の末梢に溜まりやすくなります。リンパドレナージで排液したリンパ液が重力の影響で元に戻らないために圧迫を十分に行います。弾性包帯や、ストッキングやスリーブを使用することになりますが、不適切なものを使用するとかえって悪化することがあります。

  4. 圧迫した状態での運動療法
    圧迫した状態で筋肉を浸かった運動をすることにより、本人の筋肉の動きがリンパ管の動きを活発にします。あまり強い運動ではなく、毎日できることを続けてください。お散歩をする、腕は握る・緩めるといった運動や、脚では足首や膝の曲げ伸ばしなど日常生活の中でもできる運動で十分です。

この4つの方法を組み合わせて行うものが複合的理学療法です。詳しくは次回書かせて頂きます。


【受診方法】
現在のところは、亀田総合病院か館山ファミリークリニックを受診されている方と限定させていただいております(今後検討していく予定です)。
まず、主治医へ『リンパ浮腫外来』の事を直接お話ください。紹介状を記載して頂いた上で、木曜日・金曜日午後の緩和ケア外来を予約して頂きます。予約の際に「リンパ浮腫外来の予約をしたい」とお伝え下さい。
初回は、お話を伺い、今後のことについてご相談をさせて頂きます。
リンパ浮腫外来は日常生活におけるセルフケアの指導が主になります。リンパ浮腫は何度も書きましたが、長期戦なので、セルフケアがとても重要になります。一人一人の生活に合わせたやり方をご一緒に考えながら、セルフケアとしてのリンパドレナージの方法や圧迫療法について、など具体的なものをお伝えしていきます。(リンパ浮腫外来は保険外診療のため自費になります。)
安楽に日常生活が送れるようにお手伝いが出来ればと考えております。

緩和ケア科ニュース | 2009-04-17