【活動報告】がんリハビリテーション講演会 報告(2018/11/24)

先週末11/24、がん患者のリハビリテーションの講演会が慶応大学信濃町キャンパスで開催され、関根が司会を務めました。
北海道から沖縄まで広く全国から200名を越える参加者が集いました。参加者の背景は、リハビリスタッフが過半数でしたが、医師と看護師が20?30名ずつ、がんサバイバーを含む一般の方が1割程度を占め、今やがんリハへの関心がとても高くなっていることが分かりました。

第1部では、がんサバイバーを代表して、広瀬真奈美さん(キャンサーフィットネス代表理事)が、がん患者さん自ら実践できるエクササイズとその効用について、分かりやすく解説くださいました。続いて、松元紀子先生(聖路加国際病院栄養室)が、がんと栄養の深い関係について、特に体重管理の大切さに力点を置いてお話くださいました。
第2部は「はじめよう!がんリハビリテーション研究」というテーマの下、4名の演者の先生にご登壇頂きました。

1人目:全田貞幹先生(国立がんセンター東病院放射線治療科)からは、支持緩和治療領域研究の方法論について、2人目:盛啓太先生(静岡県立がんセンター臨床研究支援センター)からは生物統計家のお立場から研究面での注意点やアドバイスをお話くださいました。3人目:辻哲也先生(慶応大学リハビリテーション医学教室)はAMED辻班の代表のお立場から現在の研究班が行っている研究と今後の目標と課題について、4人目:立松典篤先生(国立がんセンター東病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科)はリハビリセラピストとしてこれまでの臨床と研究の実践から学ばれたことを、各演者の先生は、理路整然と、そして各演者独特のユーモアや情熱を込めて聴衆に語りかけて下さいました。
どのお話も素晴らしく勉強になったのですが、私にとって特に印象深かったのは、緩和ケアやリハビリ領域で、現在、研究資金を獲得して質の高い臨床試験を行う場合、「PRO(patient-reported outcome):患者自身による主観的評価」が測定項目に含まれていることが、新規研究プロジェクトの採択に必須である、ということです。

患者中心の医療の指針を決めてゆく鍵となる臨床研究にはPROが必須というのはいかにも納得ですが、これまで長年、研究業界では、"主観的評価なんて非科学的なものは全く意味がない"と糞味噌に扱われていたこと思えば、少なくとも緩和ケア領域の臨床研究には確実に新しい風が吹いていることを実感し嬉しい気持ちになりました。

当院のリハビリスタッフも大勢参加してくださいました。参加してくださった皆様、お疲れ様でした。これからも、がんリハの充実によって多くのがん患者さんが笑顔になるよう、共に頑張って参りましょう!

(関根)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和