vol.52 長期療養施設(ナーシングホーム等の)における緩和ケアの役割が今後益々重要になる〜Dr. Diane Meier〜

長期療養施設(ナーシングホーム等の)における緩和ケアの役割が今後益々重要になる〜Dr. Diane Meier〜  

虚弱高齢者や認知症患者が多く療養しているいわゆるナーシングホームとよばれる長期療養施設における医療の質改善を求める動きが米国で本格化している。去年、The Centers for Medicare & Medicaid Services(CMS)は病院への再入院や救急受診を防ぐための新しい医療の質の測定項目を導入した。米国では、価値に基づく医療(value-based practice)の概念を高齢者医療に組み込む取組みが様々なプログラムとして開始されている。医療の提供をこれまでの量から質へと転換し、患者にとって大切となる価値観やQOLをより重視した医療が求められている。価値に基づく医療の実現には、緩和ケアアプローチを既存の医療やケアに組み込めるかが大きな鍵を握ると、Dr. Meierは強調する。

では、緩和ケアがナーシングホームで実践されるにはどうすればよいだろうか?ここでは3通りの解決モデルが提案されているが、大別して、1)各施設の患者が緩和ケア専門家のコンサルトへアクセスできるようにすること、2)すべての職種に関して各自が生涯学習単位として緩和ケアをオンライン教材を用いて自己学習できる仕組みを作ること、の2通りの方法に集約される。 ここで取り上げられたテーマは、日本においても差し迫った喫緊の課題である。療養型病院におけるケアの質をこれからどのように向上できるのか、米国における先進的な取組みは国が違えども日本においても大変参考になる。病院や施設の枠を超えて緩和ケアの輪が広がるように地域緩和ケア勉強会の取組み等を地道に続けることによって、地域全体の緩和ケアが少しずつであっても向上することを念じつつ....

(関根)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和