修了者の声

曽我圭司先生(2008年度フェロー:岡山県津山市 津山ファミリークリニック)

以前の私は、プライマリケア・家庭医療を軸として診療所で外来・訪問診療をしており、時折紹介のあるがんの方などへの症状コントロールや緩和ケアなどについて指導医から教わるというそれなりに充実した日々を過ごしておりました。ただ、なかなかまとまった形で学ぶということができていないこともあり、自分自身の臨床能力を更に高めることで患者さんやご家族に役立てる必要性があることを感じていました。そこで緩和ケアを勉強するための研修先として亀田メディカルセンター疼痛・緩和ケア科を選択し、関根龍一先生の指導を受けることになりました。

実際研修してみると、関根先生のみならず、チャプレン・認定看護師さん・リハビリスタッフ・ソーシャルワーカーなど多職種の方々と協力しながら自科の患者さんのマネジメント・他科のコンサルテーションを通じて多くのケースを担当することにより、知識・態度・技能のすべての面において自分が想定していた以上の能力を身につけることができました。さらに、がん患者さんのみならず、がん以外の困っている方への緩和ケアの提供も実践しておられ、自分自身の診療の幅を広げて頂くよい機会を得ました。

現在また診療所で勤務していますが、なにものにもかえがたい貴重な経験であり、とても日々の診療に役立っていることを実感しております。もし緩和ケアを研修をしたいと思う方がおられたら、私は亀田メディカルセンターでの研修をお薦めします。

廣橋猛先生(2009年度フェロー:永寿総合病院 緩和ケア科副部長 がん診療支援・緩和ケアセンター長)

亀田総合病院での緩和ケア研修は、関根先生の御指導のもと、優秀な先生方から多くの刺激を受け、そして素晴らしいスタッフに恵まれ、本当に幸せな時間でした。あの時間があったから、今日の自分がいると感謝しています。

私はいま、都心の病院にて、緩和ケア病棟・緩和ケアチーム・在宅緩和ケアを実践しています。当時から大切にしてきた「病院でも在宅でも、患者家族の望む場で、切れ目のない緩和ケアを提供する」医療の原点は亀田での研修でした。亀田を中心とした、恵まれた鴨川の医療環境を思うと、都心は悩ましいことも多くあります。たまの研修会で亀田にお邪魔するとき、車窓からみえる暖かい南房総の風景に、研修当時の懐かしい思い出が心を過ぎります。

これからも多くの壁にぶつかるかもしれませんが、そのときは、原点である亀田での時間に立ち返ることで、これからも励んでいこうと思います。

市來絵美先生(2010年度フェロー:京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野博士後期課程)

産婦人科専門医取得後の医師7年目から2年間、疼痛・緩和ケア科フェローとして勤務しました。亀田総合病院を選んだ理由は3つあります。1つ目に緩和領域の診療経験が豊富な関根先生に師事できること、2つ目に疾患や病気の状態に限らず、多くのつらい症状に対するケアと治療を学べること、3つ目に成熟した多職種チームがあることでした。幸いにも、今までの経験を活かせる産婦人科外来も担当し、産婦人科と疼痛・緩和ケア科ともに研鑽を積むことができました。緩和ケアを学びたい医師の方にとっては、自分の専門分野を活かしながら、自分に合った研修プログラムを組むことができることも、亀田総合病院の疼痛・緩和ケア科の魅力のひとつだと思います。当時お会いした患者さんとの会話や診療からいただいた多くの学びと課題が、現在もわたしの支柱になっています。

濱口大輔先生(2011年度フェロー:手稲渓仁会病院 緩和ケアチーム医長)

研修をふりかえると亀田総合病院の豊富な症例と高い医療水準、そして米国専門医の関根先生から直接指導を受けられる贅沢な環境でした。他にも緩和ケア病棟、神経ブロックの外部研修をさせて頂きました。学会発表は国内学会のみならず、EAPC、APHNという国際学会で発表を行いました。

現在は手稲渓仁会病院で緩和ケアチームの専従医をしています。院内外で講演会を月1回以上行い、単著「できる!がん疼痛緩和」を出版しました。2017年には2冊目の単著を出版予定です。がん・非がんを区別しない、他科との密な連携、コンサルテーション専門という関根先生の緩和ケアを2年間学べば、私のように7年目から初めて赴任する病院で一人緩和ケア医として活躍することができます。

皆様が素晴らしい研修を受け緩和ケア医として羽ばたけるよう心からお祈りいたします。

清水瑠衣先生(2012年度フェロー:千葉西総合病院 外科/緩和ケア科)

私は他の一般病院にて外科医として3年間の後期研修を終えた後、疼痛緩和医療を学ぶべく亀田総合病院の門を叩きました。2年間のフェローシップ研修は、外科での常に何かの業務に追われ、ひとつひとつの物事を深く考える間もなく時間が過ぎてゆくような研修とは打って変わり、患者様が口に出して訴えることだけではなく、その背景や、訴えに出てこない辛さを掘り下げることが求められるものでした。

緩和医療の普及に早くから携わって来たスタッフがおりますので、他診療科の理解が深く、症例数も豊富です。具体的な薬剤の種類や使い方のコツなどは比較的すぐに身につくことと思います。しかし、緩和ケア領域においては薬剤の調整だけでは改善しない症例も多々あり、行ったことがなかなか数値などに結果に反映されず、評価されにくい面があります。身体的、精神的苦痛や療養場所の事情、様々な困難を抱える難しい症例にどのようにアプローチするか、患者様のニーズと現実をどのようにすり合わせていくか・・・チームで考え、様々な職種のスタッフと力を合わせ、それが形になり患者様やご家族様に少しでも喜んでいただいたとき、よい時間をすごしていただけたときこそが醍醐味でもあります。亀田総合病院では、多職種カンファレンスや普段からのコミュニケーションを通じて、チームとして治療にあたることの有意義さ、他職種との連携のコツなどを学ぶことができると思います。

また、私は2年間のフェローシップの間に、病院のサポートを受けて2回米国で研修する機会に恵まれました。これほど積極的に海外研修など学ぶ機会を与えてもらえる研修病院はなかなかないのではないかと思っております。

坂祥平先生(2013年度フェロー:北里大学病院 総合診療部) 

〜緩和ケアを学ぶこと、自分を振り返ること〜

当時の自分は、たくさんの人が本当に幸せなのかわからないまま、次々と入院しては亡くなっていく姿を目の当たりにしていました。そんな中で緩和ケア病棟や在宅で、穏やかな表情で息を引き取る人を見て、全ての人が最期を幸せに、少なくとも苦痛なく過ごせるように、と願い、緩和ケアを学びたいと思うようになりました。そんな矢先にご縁があり、門戸を叩きました。

関根先生やスタッフの皆様に、他科の医師との接し方やコンサルテーションチームでみること、緩和ケア医として必要なことを教わりました。あの当時は未熟すぎてわからなかったことですが、自分自身を振り返る機会も多くあり、一人の人間としても成長した1年でした。

そんな素敵なチームです。ぜひ、患者様としても、研修医としても、頼ってください。