卒業生便り(vol.7 尾崎 先生)

虎ノ門病院で活躍されている尾崎由記範先生よりお便りをいただきました。


前回卒業生便りを書かせて頂いたのは2年前の2016年6月でした。2018年7月現在は、引き続き虎の門病院 臨床腫瘍科に勤務しております。今回は、私が関わらせて頂いている乳癌研究の経緯について紹介させて頂きます。

私は2016年にがん薬物療法専門医を取得しました。それまでは様々な癌種に広く興味を持ち、臨床や研究に従事しておりました。専門医を取得後は、乳癌を専門にすることを決め、臨床では多くの癌種を引き続き診療しておりますが、研究では主に乳癌に力を入れておりました。幸運なことに、2016年10月にMD Anderson Cancer Center 乳腺腫瘍内科に約1ヶ月間の短期留学に行かせていただくことができました。そこでは、乳癌の中でも特に何に興味を持っているのか、どの領域の専門性を今後高めていくべきなのか、という命題(自問自答)に取り組んでいました。その頃、悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント阻害薬は、それまで非常に予後不良であった患者さんたちの一部に10年間もの生存期間をもたらす (Cureといっても良いでしょう)ことがわかり、私はこのデータにとても感銘を受けました。これを乳癌の世界でも実現したい、と思い、乳癌における免疫療法(主に免疫チェックポイント阻害薬)の開発に貢献しようと決めました。

短期留学から帰国後に、周りの方々に自分のこの決意を伝え、機会を逃さないようにと思っていた矢先、2017年1月頃に、乳癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の医師主導治験のお話をいただきました。医師主導治験を主導するには様々なハードルがありますが、多くの関係者の皆様のおかげで、2018年2月からなんとか治験を開始することができました。乳癌に対する免疫療法の領域で世界をリードするデータを出すために、そして一人でも多くの乳癌患者さんのCureを目指して、これからも治験を含めた臨床研究に取り組んでいきたいと考えております。

腫瘍内科医は守備範囲が非常に広く、幅広い内科的知識に加えて、極めて複雑化してきている薬物療法のストラテジーを多癌種にわたって理解しておく必要があります。一方で、治療開発や研究に携わるのであれば、自分が情熱を持って追求できる明確なテーマが必要だろうとも思います。自分が所属する組織や立場に合わせて、これらのバランスをうまく取りならが研鑽を積んでいくことが求められていると最近感じています。

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学会報告の様子

虎の門病院 臨床腫瘍科
尾崎由記範