総合内科1分レクチャー (11)がんと血栓症

深部静脈とはどこか?

下肢であればひらめ筋静脈より近位の深部にある静脈を指す。しかし、抗凝固療法の治療対象は主に膝窩静脈とその近位の静脈。大伏在静脈も含める事が多い。また、ひらめ筋静脈血栓だけでも疼痛・腫脹などの症状がある場合、またはがん関連などは治療の対象にする事がある。

担がん患者のDVT/PEの治療

  1. 入院して抗凝固療法。通常はUFH(未分画ヘパリン)
  2. その後5ー7日後に安定していたらDOAC(エドキサバン、リバロキサバン、アピキサバン)で6ー12ヶ月 (Hoksai VTE NEJM2017)
     癌が根治しない場合、治療期間は無期限(indefinite)も検討
     CTなどで血栓消失が確認されたら中止しても良い(DACUS study JCO2014)
     CCR<30の腎不全ではDOACはデータが無い。LMWHも使用不可
  3. DOACが使用出来ない場合、ワルファリンでINR2-3。しかし再発リスクは高くなる。

特記事項

  • 欧米で、低分子ヘパリンは担がん患者のDVT治療に高いレベルのエビデンスのある。しかし日本ではDVT/PE治療には保険適応外
  • 合成ヘパリンであるフォンダパリヌクス(アリクストラ)はDVT/PE治療に14日間保険適応がある。ヘパリン(UFH)と同様に使用してもよい
  • もし冠動脈ステント留置後などで抗血小板薬を使用している場合(特にDAPT)、フルの抗凝固は出血リスクが高まる→循環器科に相談
  • 抗血小板薬はDVT/PEには、治療にも予防にも役立たない!(例外ミエローマのサリドマイド治療)
  • DOACが治療量であるにもかかわらずDVT/PEが再発したら用量を増加させても効かない。出血リスクが高まる。他の薬剤に変更する→事実上長期のUFH注射となる。
  • 腎不全にはUFHが安全
  • 侵襲的処置を要する症例にも、UFHは中止後4時間程度で効果が消失するため使用しやすい。他の薬剤は半減期が長い
  • 抗凝固の禁忌:活動性の出血、脳出血、最近の頭蓋内出血、出血性脳転移、オペ直後>>血小板4ー5万ではどうする?
  • 心臓の機械弁にはDOACはダメ (RE-ALIGN NEJM2013) 。比較試験でワルファリンに完敗(血栓と出血が増えた、しかし試験されたのはダビガトランだけ)
  • 担がん患者でDVTの再発リスクは>15%

がんと血栓症は下記も参照

  • ACCPガイドライン Chest 2016
  • NCCNガイドライン online
  • ASCO ガイドライン