総合内科1分レクチャー (8)oligometastasisの概念

  1. 固形癌において、遠隔転移を伴う進行がん(いわゆるステージIV)では、原則一部の例外を除いて根治は不可能。治療の目的は延命と症状緩和です。楽になっていただき、長く生きてもらうことです。

  2. ステージIVでは、通常、全身の組織に行き渡る化学療法(抗がん剤)が治療の主体と成ります。「全身療法 systemic treatment」とも言います。

  3. しかし、近年、ステージIVでも、切除などの局所療法(local treatment)をする場合が増えています。

  4. これは、化学療法が発達し、ステージIVでも長期生存する症例があるためです。全身に広がったがんの内、治療中に悪化してくる病巣だけ切除するなどです(oligometastatic disease)。そうすることで長期生存や中には治癒する場合もあります。

  5. 全身に広がったがんが、全体的に悪化している場合には局所療法は適応になりません(wide-spread disease)。引き続き全身療法(化学療法)が適応になります。

  6. 一見ステージIVに進行してしまった進行がん症例でも、中には結構よくなる症例もあるのです。

  7. ところで、それでもPS(performance status)は大事!

このサイトの監修者

亀田総合病院
腫瘍内科部長 大山 優

【専門分野】
がんの包括的医療、病状に応じた最善の治療の選択と実践