第2回 米国の血液・腫瘍内科の研修 その1

米国の血液・腫瘍内科の研修について概説します。詳細は施設毎に異なりますが、大筋は同じです。血液がん、固形がん、良性血液疾患を研修します。私が研修したシカゴのノースウェスタン大学病院では、1年目は血液がん、固形がん病棟、良性血液疾患コンサルト、緩和ケア病棟で病棟業務を行います。病棟には内科研修医(レジデント)が常にいますので専門研修医(フェロー)の我々は、研修医と指導医(アテンディングドクター)の間に入り、研修医を教えながら指導医の指導を受けます

外来は1年を通じて週3回、様々な指導医にマンツーマンで師事して患者さんを担当します。初診患者さんの病歴と理学的所見をとり、指導医にプレゼンテーションし、方針を相談します。そして指導医と一緒に診察室に戻り、指導医が患者さんに説明するのを見て学びます。それを何度も繰り返すうちに、徐々に自然と自分でできる範囲が広がってゆきます。そして慣れるに従い指導医と阿吽の呼吸で診療と研修ができるようになってゆきます。数ヶ月毎に直接師事する指導医を変えますが、それまで担当した患者さんはその後も受け持つことが出来て、元々の指導医と相談して診療とフォローを継続できます。ノースウェスタン大学病院ではフェロー向けに特別に分けられた患者さんやクリニックはありません。全て指導医を目当てに紹介されてきた症例です。それらの患者さんを指導医の下に診療してゆきますが、慣れると徐々に単独で判断し、後に自分の医療行為を多忙な指導医へ事後報告する場合も出てきます。その判断が良好であるほど、また指導医を補佐する機会が増えれば増えるほど信頼関係が増し、患者さんやその他のスタッフとの信頼関係も同時に増してゆきます。

このサイトの監修者

亀田総合病院
腫瘍内科部長 大山 優

【専門分野】
がんの包括的医療、病状に応じた最善の治療の選択と実践