第4回 フェロー1年目

私が1年目の時、多めに受け持った症例は消化器(神経内分泌腫瘍を含む)、泌尿器、血液腫瘍、乳腺、肺、頭頸部などです。1年間は完全に臨床研修の年ですが、2年目と3年目はフェローの希望により、臨床重視(開業医を目指すclinical track)、臨床リサーチ重視{アカデミックキャリア(大学などのポスト)を目指すtranslational research track}、基礎研究重視(基礎研究者を目指すbasic research track)の三つのパターンを選べます。しかし、完全に分かれるわけではなく、二つの折衷や、途中で変更したりなど結構自由です。

私は血液と骨髄移植に興味があり、当時はまだ存在していなかった移植フェローの先駆けみたいなのをやらせてもらいました。外来は、半分は血液疾患を専門とする指導医につきました。残りの半分は乳癌、肺、頭頸部、黒色腫などの指導医と働きました。研究活動の1つとして、フェローの間に移植専門の指導医から、論文作成のため、それまでの臨床試験として施行した移植患者データを集める作業を与えられました。前向きに施行された試験ですが、数年前のカルテをもう一度探して調べる地道な作業を、仕事が終わった後にしました。当時は全て紙カルテで、しかも英語です。中には紙は既に破棄され、マイクロフィルムになっているものもありました。毎日夜と週末にmedical record department(診療録管理部)に通いました。これらの地道な作業は国や時代が変わっても同じだと思います。

このサイトの監修者

亀田総合病院
腫瘍内科部長 大山 優

【専門分野】
がんの包括的医療、病状に応じた最善の治療の選択と実践